著者
工藤 上 小山田 隆
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

2009年と2010年の5月~10月に、青森県内の農場3カ所と北海道内の農場2カ所を対象に、イベルメクチンポアオン製剤の通常量投与による牛消化管内線虫の駆虫試験(Fecal egg count reduction test)を行った。その結果、糞便内線虫卵の大半を占めるCooperia属線虫の虫卵減少率は、青森県内の農場1カ所と北海道内の農場2カ所において8月の駆虫後に薬剤耐性の目安となる90%を大きく下回り、我が国の牛におけるイベルメクチン耐性線虫の存在が初めて確認された。
著者
河村 葉子 辻 郁子 杉田 たき子 山田 隆
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.170-177_1, 1997-06-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
11
被引用文献数
2 4

ステンレス製器具及び食器からの鉄, クロム, ニッケル, 鉛及びカドミウムの溶出について検討を行った. 溶出した鉄, クロム, ニッケルにおいては, 溶出溶媒では水<4%酢酸<0.5%クエン酸, 溶出条件では室温24時間<60℃30分間<95℃30分間<沸騰2時間の順に, 溶出量が多くなった. 市販及び使用中の器具及び食器について, 4%酢酸で60℃又は95℃30分間の溶出試験を行ったところ, 新品では鉄50~1,110ppb, クロム5~28ppbの溶出が認められたが, 使用中の製品では検出頻度, 検出値ともに低く, 繰り返しの使用により溶出量が低下するものと考えられた. また, 鉛は使用中の製品1検体から検出されたが, 25ppbと微量であった. 一方, カドミウム及びニッケルはいずれの製品からも検出されなかった.
著者
本郷 研太 小山田 隆行 川添 良幸 安原 洋
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.799-803, 2005-10-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
33
被引用文献数
2

フント則の交換エネルギーによる解釈は誤りである.2電子系, 軽分子の低励起状態についてこの事実が指摘されて以来, 既に20年以上経つ.スピン最多重度状態の安定性は, 運動エネルギーはもちろん電子間斥力エネルギーをも増加させる代償として得られる原子核電子間引力エネルギーの低下に起因する.本稿は, 炭素, 窒素, 酸素原子の基底状態について同結論を拡散量子モンテカルロ法によって初めて検証し, 相関の役割を解析した.
著者
栗本 享宥 苅谷 愛彦 目代 邦康 山田 隆二 木村 誇 佐野 雅規 對馬 あかね 李 貞 中塚 武
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

岐阜県北西部から中央部にかけて走る庄川断層帯は,1586年天正地震の起震断層帯として強く疑われている断層帯であり,4条の活断層から成る.その最南端部である三尾河断層の南に移動体体積が2.2×107m3の大規模地すべり地が存在する.これは伝承で「水沢上の大割れ」と呼ばれ,天正地震で生じたとされてきた.しかし,当地すべりに関する地形学・地質学的な観点からの詳しい検討はなかった.演者らは,当地すべりを水沢上地すべり(以下ML)と命名し,現地踏査と1 m-DEMデータから作成した各種主題図(地形陰影図など)に基づく地形判読と現地で採取した試料の年代測定および年代値の分析を基礎として,MLの地形・地質特性や発生時期,誘因を検討した.やや開析された円弧状の滑落崖は北東方向に開き,その直下に地すべり移動体が分布する.移動体末端の一部は直下の河川(吉田川)を越えて対岸の谷壁斜面に乗り上げる.また移動体の一部は比高40~50 mの段丘状地形を成す.滑落崖,移動体の形状はそれらが複数回の地すべりで形成されたことを示唆し,地表面には地すべりに起因する大小の凹凸地形が発達する.地すべり移動体は不淘汰・無層理の安山岩角礫と細粒の基質から成り,礫にはジグソークラックが発達する.Loc. 1の左岸側露頭では移動体構成物質中に,地すべり移動時に巻き込まれたと推定されるクロボク状表土の破片が認められる.この破片に含まれる木片2点の較正年代(2δ)はcal AD 1492~1645の範囲に及ぶ.また,地すべり移動体が吉田川を堰き止めて生じた層厚約2 mの湖沼・氾濫原堆積物も確認できる.この湖沼・氾濫原堆積物の下限の約90 cm上位から採取した直径約20 cmの丸太材の外周部の14C年代はcal AD1513~1618であり,細胞セルロース酸素同位体比年輪年代測定によってAD1615~1620頃と推定された同材の枯死年代とは調和的である.以上のように,MLの規模や地すべり移動体と堰き止め湖沼・氾濫原堆積物の層相および年代から,MLの誘因は強震動が第一に想定される.試料の年代からみて,誘因が1586年天正地震であった可能性は高まったといえる.ただし歴史地震学において提唱されている天正地震の本質から,本震と考えられる1586年1月18日の地震でMLが形成されたか否かといった問題について,なお検討を加える余地がある.同時に1596年慶長伏見地震との関係についても検討の対象となる.
著者
田中 崇裕 長原 正人 高橋 春雄 橋本 成弘 山田 隆 宮脇 律郎 門馬 綱一 重岡 昌子 徳本 明子 松原 聰
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2015年年会
巻号頁・発行日
pp.40, 2015 (Released:2020-01-15)

鹿児島県薩摩川内市入来地区に露出するカオリンを主とする変質粘土帯に存在する熱水石英脈中に、我が国初産のスカンジウムリン酸塩鉱物であるコルベック石とプレツール石と考えられる鉱物が確認された。これらの鉱物について、化学組成、産状、成因などについて報告する。
著者
似鳥 藍子 馬場 志 山田 隆介
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.58-60, 2011 (Released:2011-03-30)
参考文献数
7

ギランバレー症候群(以下GBS)の予後は回復良好とされていたが,近年では回復が遅延するという報告がある。しかし,その回復遅延群とされた症例でも長期的なリハビリテーションの介入により,回復を認めているという報告もある。しかしながら,そのような個人の経過を追った症例報告は現在において少ない。今回,我々が経験した回復遅延群のGBSは,他院から当院へ転院した直後は身体機能は低く,基本動作においてはほぼ全介助であり,退院先は施設方向であったが,当院入院3ヶ月以降に著明な回復が認められ,自宅退院へ至った症例であった。転院初期の予測とは違う経過をたどった症例の経過を知ることができ,そして回復期リハビリテーションという限られた期間がある中では,回復期に限らず,長期的な介入な可能となるよう,退院後のフォローや地域・家族との連携の重要さを改めて知ることができた。
著者
川畑 輝子 武見 ゆかり 林 芙美 中村 正和 山田 隆司
出版者
日本フードシステム学会
雑誌
フードシステム研究 (ISSN:13410296)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.226-231, 2021 (Released:2021-03-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1

This is a food environment intervention study, aiming at improving the diet of hospital workers. The intervention was conducted at a convenient store in a hospital in Tokyo. The intervention included availability, accessibility, information and incentive. We used nudge tactics to increase the effect. To evaluate the intervention, we used the point of sales data and examined the response of the staff. Total sales and sales of healthy items significantly increased. The intervention was well-accepted by the staff. It suggests that using nudges to improve the food environment at a convenient store in a hospital can increase sales.
著者
小山田 隆 江坂 幸敏 工藤 上 吉川 尭
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.574-578, 1996-08-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
28
被引用文献数
3

1992年7月~1995年12月に青森県東部地域で集められた18種の淡水魚総計44, 724尾について, 日本顎口虫の幼虫寄生を検索した.ドジョウ, ナマズ, ウキゴリ, ヤマメおよびウグイの5魚種から, 第3後期幼虫計322虫体を検出した.幼虫が検出された魚種はいずれも人への感染源になり得ると思われ, 特にヤマメを含むサケ科ならびにウグイを含むコイ科魚類は, 北日本で発生している人の日本顎口虫症の感染源として重視すべきものと考えられた.
著者
山田 隆 藤江 誠
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

・クロロウイルスCVK2感染初期遺伝子の同定と発現解析ウイルス感染後、5-10minの間にウイルス初期遺伝子が発現する。最初期に発現する遺伝子計23個を同定し、その発現パターンと特異的プロモータ構造を解析した。初期遺伝子には、TFIIB,mRNA capping enzyme,helicase,transcription factors等転写に関係する因子、aa-tRNA synthetases,ribosomal proteins等翻訳関係因子、その他各種代謝系に関係する酵素がコードされていた。これら各々の感染における役割の確定が興味深い問題である。クロロウイルス感染初期転写の特徴は、感染後40minでそのパターンが大きく切り替わる事である。すなわち当初poly(A)付加されるmRNAは感染後40min以降は全くpoly(A)を失う。転写開始、終結が40min以降は極めてルーズになり、readthroughが頻繁に起こる。感染後、早期に生成される宿主細胞表面ヒアルロン酸、キチンは、宿主細胞を一時的に外環境より保護する意義があると思われる(論文発表)。・クロロウイルスCVK2のコードする新奇細胞壁分解リアーゼの解析ウイルスが宿主細胞壁を特異的に分解するには複数の酵素活性が必要であり、これまでに3種の多糖加水分解酵素遺伝子をウイルスゲノム上に同定してある。さらに未知ORFが宿主溶解活性があることを見いだしvAL-1と命名した。GST-融合タンパク質として大腸菌で生成したvAL-1を用いて、宿主細胞壁を分解し生成オリゴ糖をMALDI-TOFF-MASSスペクトロメトリーで解析した。その結果、この酵素はC2位に側鎖を持つグルクロン酸のβ結合を脱離反応で切断するリアーゼ活性を有することが判明した。既知のリアーゼとは諸性質を異にし酵素学的にも興味深い酵素である(論文発表)。また、切断基質となる糖鎖構造もまたユニークであり、このウイルスの宿主特異性を考える上で重要な情報となる。
著者
山田 隆
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子大学紀要 (ISSN:02870525)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.159-175, 2003-03-31

写真コミュニケーションを考察するための基礎資料として,カメラと写真の最近までの変化を整理した。戦後の日本において,カメラの世帯普及はほぼ順調に進み,1980年代には80%に達した。自動露出や自動焦点,コンパクト化などにより,撮影者の層が拡大した。使い捨てカメラや現像・焼付けの低価格化などにより,カメラの携帯と撮影の日常化が進んだ。最近では,カメラはデジタル・カメラに移行しつつある。カメラの発展につれて,撮影する/される意識も変化してきた。写真は鑑賞するより撮るもの,撮られる場合はより良く,写真は自分(達)のために,などである。写真は保存するというだけでなく消費するという側面も出てきている。このような新しい写真との関わり方は,若い女性を中心に表れている。携帯電話にカメラが付いたことで,更に写真行動は変化していくものと考えられる。
著者
山田 隆二 木村 誇 苅谷 愛彦 佐野 雅規 對馬 あかね 李 貞 中塚 武 國分(齋藤) 陽子 井上 公夫
出版者
公益社団法人 砂防学会
雑誌
砂防学会誌 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.3-14, 2021-01-15 (Released:2022-01-17)
参考文献数
46
被引用文献数
1

Establishing chronologies for large-scale landslides is crucial to understand the cause of the mass movements and to take measures against potential hazards in future. We discuss the applicability of dating methods for determining landslide chronologies in relation to the type of samples and the stratigraphic setting of sampling location. Case studies are carried out with fossil wood samples buried in the deposits of large-scale landslides in two areas of the Japanese Alps region in historic times ; Dondokosawa rock avalanche (DRA) and Ohtsukigawa debris avalanche (ODA). Ages are determined by accelerator mass spectrometry radiocarbon dating and dendrochronological analysis using the oxygen isotope composition of tree ring cellulose. We report seven radiocarbon ages and five dendrochronology data for the wood samples taken from outcrops and excavated trenches in the lacustrine sediments of dammed lakes formed by DRA, and two radiocarbon ages and two dendrochronology data for wood samples of ODA. Two sets of data for DRA are crosschecked independently to ensure the accuracy of results. Most of ages in the DRA area are concordant with the period of AD 887 Ninna (Goki-Shichido) mega-earthquake as proposed in previous studies. In the ODA area, ages are not concentrated in a specific period. When the preservation condition of buried wood trunks is good enough to date the exact or approximate tree-death years dendrochronologically, it is possible to estimate landslide occurrence periods in further detail by comparing the landslide chronology with historical records of heavy rainfall and large earthquakes.
著者
河村 葉子 辻 郁子 杉田 たき子 山田 隆
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.170-177, 1997-06-05
参考文献数
11
被引用文献数
4

ステンレス製器具及び食器からの鉄, クロム, ニッケル, 鉛及びカドミウムの溶出について検討を行った. 溶出した鉄, クロム, ニッケルにおいては, 溶出溶媒では水<4%酢酸<0.5%クエン酸, 溶出条件では室温24時間<60℃30分間<95℃30分間<沸騰2時間の順に, 溶出量が多くなった. 市販及び使用中の器具及び食器について, 4%酢酸で60℃又は95℃30分間の溶出試験を行ったところ, 新品では鉄50~1,110ppb, クロム5~28ppbの溶出が認められたが, 使用中の製品では検出頻度, 検出値ともに低く, 繰り返しの使用により溶出量が低下するものと考えられた. また, 鉛は使用中の製品1検体から検出されたが, 25ppbと微量であった. 一方, カドミウム及びニッケルはいずれの製品からも検出されなかった.
著者
山田 隆一 柳 和久 リ チウィ
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.1785-1790, 1998-12-05
被引用文献数
2 1

As the machine tools are shifting to high precision cutting, it is necessary to develop an effective instrumentation system and to establish an evaluation method for the spindle run-out error. In this paper, a new measurement system for the run-out error was developed by utilizing an transmitted light beam method. Also a new evaluation method was established by separating the run-out error into rotational error and tool chucking error. The measuring principle is based upon edge detection technique in which a halved photo detector is used to quantify the amount of the transmitted light through the both sides of the pin-gauge used as a master specimen. By providing two similar optical setups which are placed perpendicular to the rotating axis of the pin-gauge, an X-Y displacement measurement system of the pin-gauge was built up. The run-out error of the spindle can be known directly by evaluating the displacement of the pin-gauge through its Lissajous figure. Finally, it was clarified that the performance of the developed evaluation system is practically acceptable.