著者
河村 葉子 辻 郁子 杉田 たき子 山田 隆
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.170-177_1, 1997-06-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
11
被引用文献数
2 4

ステンレス製器具及び食器からの鉄, クロム, ニッケル, 鉛及びカドミウムの溶出について検討を行った. 溶出した鉄, クロム, ニッケルにおいては, 溶出溶媒では水<4%酢酸<0.5%クエン酸, 溶出条件では室温24時間<60℃30分間<95℃30分間<沸騰2時間の順に, 溶出量が多くなった. 市販及び使用中の器具及び食器について, 4%酢酸で60℃又は95℃30分間の溶出試験を行ったところ, 新品では鉄50~1,110ppb, クロム5~28ppbの溶出が認められたが, 使用中の製品では検出頻度, 検出値ともに低く, 繰り返しの使用により溶出量が低下するものと考えられた. また, 鉛は使用中の製品1検体から検出されたが, 25ppbと微量であった. 一方, カドミウム及びニッケルはいずれの製品からも検出されなかった.
著者
河村 葉子 馬場 二夫 渡辺 悠二 六鹿 元雄
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-8, 2016 (Released:2016-04-28)
参考文献数
32

Aluminum is the third most abundant element in the earth’s crust and is widely used by humans including aluminum kitchen utensils and food packages. The Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA) revised the provisional tolerable weekly intake (PTWI) for aluminum to 2 mg/kg body weight/week in 2011. The estimated range of mean dietary aluminum intake was 2-19 mg/person/day based on the literature. Aluminum kitchen utensils and food packages have the possibility to release aluminum into foods during cooking or storage, though the estimated aluminum intakes from them were reported very few. Therefore, Japanese aluminum intake was estimated based on our test results and Japanese food consumption data. The estimated aluminum intake from aluminum kitchen utensils and food packages was the highest for an adult per person, however, it was the highest for a child based on body weight. They ranged from 0.277-0.570 mg/person/day (0.06-0.12 mg/kg bw/week) on average and 0.677-1.333 mg/person/day (0.15-0.29 mg/kg bw/week) at a maximum. All of these results were sufficiently lower than the PTWI.
著者
河村 葉子 辻 郁子 杉田 たき子 山田 隆
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.170-177, 1997-06-05
参考文献数
11
被引用文献数
4

ステンレス製器具及び食器からの鉄, クロム, ニッケル, 鉛及びカドミウムの溶出について検討を行った. 溶出した鉄, クロム, ニッケルにおいては, 溶出溶媒では水<4%酢酸<0.5%クエン酸, 溶出条件では室温24時間<60℃30分間<95℃30分間<沸騰2時間の順に, 溶出量が多くなった. 市販及び使用中の器具及び食器について, 4%酢酸で60℃又は95℃30分間の溶出試験を行ったところ, 新品では鉄50~1,110ppb, クロム5~28ppbの溶出が認められたが, 使用中の製品では検出頻度, 検出値ともに低く, 繰り返しの使用により溶出量が低下するものと考えられた. また, 鉛は使用中の製品1検体から検出されたが, 25ppbと微量であった. 一方, カドミウム及びニッケルはいずれの製品からも検出されなかった.
著者
武田 由比子 河村 葉子 山田 隆
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.178-183_1, 1998-06-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
19
被引用文献数
4 7

アルミホイルから各種食品擬似溶媒へのアルミニウム溶出について検討したところ, 溶媒により溶出挙動は大きく異なった. 水への溶出は少なく, 水道水では超純水よりわずかに高かった. 4%酢酸及び0.5%クエン酸溶液では, 水道水の25~200倍であった. また,4%酢酸へは0.5%クエン酸溶液の2倍以上の溶出量であった. 酸性溶媒への溶出は温度及び時間に相関して増加した. 一方, アルカリ性溶媒への溶出は, 2時間以内に急激に増加し, その後はほぼ一定の状態となった. 市販アルミ箔製品10種類の溶出調査を行ったところ, 95℃30分で超純水への溶出は0.1-0.2μg/cm2, 0.5%クエン酸溶液では4.4-14.6μg/cm2, 4%酢酸では24.4-37.6μg/cm2であった.
著者
河村 葉子 米澤 里香 前原 玉枝 山田 隆
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.154-161, 2000-04-25
被引用文献数
5 16

既報のポリエチレン及びポリ塩化ビニル中の添加剤一斉分析法について, ポリプロピレンへの適用を検討した. 84種類の添加剤を分析対象とし, そのうち29種類の添加回収試験を行ったところ, 回収率は63.1~114.1%とほぼ良好であった. 食品用ポリプロピレン製器具・容器包装39検体中の残存添加剤を測定したところ, 酸化防止剤のIrganox 1010が最も高頻度に検出され, 次いでIrgafos 168であった. その他, 酸化防止剤のBHT, 滑剤のオレアミド, ステアミド, エルカミド, ステアリン酸などが検出された. 更に, 界面活性剤のモノパルミチン, モノステアリンや可塑剤のDEHP, BBP, DINP等も検出された. また, 滑剤として添加されたと思われる3種類の脂肪族炭化水素群も見いだされた.
著者
菅野 慎二 河村 葉子 六鹿 元雄 棚元 憲一
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.196-199, 2006-08-25
参考文献数
9
被引用文献数
3

わが国の市販瓶詰の金属キャップに塗布されたシーリング103検体について,形状,材質,エポキシ化大豆油(ESBO)含有量,共存可塑剤などを調査した.シーリングの材質は 97% がポリ塩化ビニルであり,ごく一部がポリエチレンおよびアクリル樹脂であった.ESBOは全検体から 0.006~42.4% の含有量で検出され,ベビーフード,ジャムなどでは高く,飲料などでは低かった.また,ラグキャップやプレスオンツイストキャップでは高く,ピルファープルーフキャップでは低く,スクリューキャップではばらつきが大きかった.スクリューキャップおよびラグキャップの一部からフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP),フタル酸ジイソデシル(DIDP)などの可塑剤が検出され,これらのシーリングのESBO含有量はESBOのみの1/10以下と低かった.今回の調査により,わが国で流通するほぼすべてのキャップシーリングがESBOを含有し,80% が主可塑剤として使用していることが判明した.
著者
久保田 浩樹 佐藤 恭子 佐々木 伸夫 河村 葉子 小関 良宏 穐山 浩
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.94-103, 2012
参考文献数
38

カットキャベツを次亜塩素酸ナトリウムにより殺菌処理したときに生成する消毒副生成物の生成影響因子について検討を行った。カットキャベツは、次亜塩素酸ナトリウム(100mg/L)単独あるいは、有機酸と共に10分間殺菌処理を行い、カットキャベツに残存する揮発性ハロゲン化合物をヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析装置で測定した。主要な副生成物としてクロロホルムが検出された。クロロホルムは、殺菌時間、pH、温度、初期次亜塩素酸ナトリウム濃度に依存して増加した。次亜塩素酸溶液を種々の無機酸及び有機酸と併用してもトリハロメタンは生成しないが、クエン酸は次亜塩素酸と反応し、クロロホルムを生成した。クロロホルム濃度は、次亜塩素酸・クエン酸混液の混和時間に対応して増加し、カット野菜の殺菌時間には影響しなかった。また、カット野菜に残存したクロロホルムは水洗浄により、水道水中のトリハロメタン濃度レベルまで減少した。
著者
河村 葉子 三浦 麻記子 杉田 たき子 山田 隆
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.27-33, 1997-02-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
7
被引用文献数
9 11

The residue and release of 28 kinds of antioxidants and ultraviolet stabilizers in polyethylene products were investigated. The samples included a total of 36 kinds of kitchenware, e. g., bags, wrapping films, sauce bottles and a chopping board, and a total of 16 food-packages, e. g., bags, cases, nets and a tube. They were analyzed using the simultaneous determination method with HPLC. Most samples contained 1-3 antioxidants, mainly Irganox 1076, Irgafos 168, BHT and Irganox 1010. The residue level was about 50-1, 000μg/g. The migration test was carried out using high-residue samples. No additives were released into water, 20% ethanol or 4% acetic acid at 60°C after 30min, though some additives were released into n-heptane at 25°C after 60min.
著者
中西 徹 河村 葉子 城市 香 渡邊 雄一 杉本 敏明 阿部 裕 六鹿 元雄
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.193-199, 2018-10-25 (Released:2018-11-14)
参考文献数
3
被引用文献数
2

食品衛生法では,器具・容器包装からの総溶出物試験として蒸発残留物試験が規定されている.油脂および脂肪性食品の最適な食品擬似溶媒は植物油であるが,蒸発乾固が困難であることから,合成樹脂ではヘプタン,ゴムでは20%エタノールが浸出用液として用いられている.一方,欧州連合では,油脂および脂肪性食品に使用される合成樹脂に対してオリブ油への総溶出物試験が規定されており,その試験法は欧州標準規格EN1186-2に収載されている.しかし,試験操作上の問題が多いことから,試料の恒量化を43%硫酸デシケーターで行い,溶出後試料に残存する植物油を内標準浸漬抽出法で抽出し,植物油のメチルエステル化にナトリウムメトキシドを用い,GC測定条件を変更するなどの改良を行った.その結果,操作が簡便で試験時間が大幅に短縮され,試薬の有害性が低減され,合成樹脂だけでなくゴムにも適用可能な試験法を確立することができた.さらに,本法とEN1186-2に示された試験法を6種類の試料を用いて比較したところ,同等の試験性能をもつ優れた試験法であることが確認された.
著者
河村 葉子 井之上 浩一 中澤 裕之 山田 隆 米谷 民雄
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.13-17, 2001-02-25
参考文献数
10
被引用文献数
2 24

ビスフェノールA (BPA) 含有量が高かったコーヒー及び紅茶飲料の相当缶を検討したところ, いずれもエポキシ樹脂コーティングに原因があったが,サイドシームや底蓋部でBPA濃度が極めて高かったり, 胴部がやや高いため缶全体の残存量が高いなど原因部位は様々であった. 水60及び95℃, 20%エタノール, <i>n</i>-ヘプタンではBPAは溶出しなかったが, 水120℃30分間では35~124ng/mL溶出した. 相当缶のBPA溶出量は材質中の残存量とほぼ一致し, 缶入飲料のBPA含有量とも近い値であった. BPAの移行は, コーティング中のBPA残存量と飲料の加熱条件に依存することが示された. 一方, 改良缶ではコーティング中のBPA量が大幅に減少しており, 溶出量は1/10以下に低減された.
著者
武田 由比子 河村 葉子 山田 隆
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.266-271_1, 1998
被引用文献数
7

アルミホイル片を酸性21種類, アルカリ性6種類の食品から調製した溶液へのアルミニウム移行は, 酢類, 梅干し類, アルカリ性食品で多かった. 酸性食品では, 95℃30分でぽん酢, レモン酢及び梅干し漬汁10.02~13.83μg/cm<sup>2</sup>, りんご酢, かぼす酢, ワインビネガー6.85~3.11μg/cm<sup>2</sup>, 果汁及び乳製品0.66~0.92μg/cm<sup>2</sup>であった. 穀物酢は0.20μg/cm<sup>2</sup>と低く, 4%酢酸の約200分の1であった. アルカリ性食品では, 95℃30分でこんにゃく煮汁13.72~16.24, しらたき煮汁88.03~107.4, 中華麺煮汁10.55~10.97μg/cm<sup>2</sup>と高かった. 食塩は溶出を高めるが, 糖, タンパク質, アミノ酸及び脂肪は溶出抑制の傾向があり, 特にタンパク質, アミノ酸類は4%酢酸95℃30分の溶出を10%以下に抑えた.
著者
杉本 直樹 多田 敦子 末松 孝子 有福 和紀 齋藤 剛 井原 俊英 吉田 雄一 久保田 領志 田原 麻衣子 清水 久美子 伊藤 澄夫 山崎 壮 河村 葉子 西村 哲治
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.19-27, 2010
被引用文献数
8 21

天然着色剤として広く用いられているコチニール色素の主成分であるカルミン酸の絶対定量に定量NMR(qNMR)を応用した.各社より試薬カルミン酸が販売されているが,その純度が正確に値付けられていないため,この市販試薬を定量用標準品の代用品としてHPLCにより定量した場合,信頼性の高い分析値は得られない.そこで,我々は国際単位系(SI)にトレーサブルな絶対定量法の1つとして,NMRスペクトル上に観察されるシグナル強度がその核のモル量に正比例することを原理としたqNMRを開発している.qNMRによるカルミン酸の絶対定量を以下のように行った.認証標準物質フタル酸水素カリウムを用い,qNMR標準液中の基準物質2-ジメチル-2-シラペンタン-5-スルフォン酸-<i>d</i><sub>6</sub>ナトリウム塩(DSS-<i>d</i><sub>6</sub>)の濃度校正し,カルミン酸のフェニルプロトンとDSS-<i>d</i><sub>6</sub>のメチル基に由来する9つのプロトンとのシグナル強度比より,コチニール色素製品および試薬製品中のカルミン酸の含量(純度)をカルミン酸カリウム塩3水和物として絶対定量した.その結果,コチニール色素製品および市販試薬中に4.6~30.5%および25.3~92.9%含有されていることを明らかとした.qNMRによる絶対定量は,1測定当たりの所要時間が約10分と極めて迅速であり,測定対象の化合物と同一の定量用標準品を必要としないだけでなく,SIにトレーサブルな分析値を導く点が優れている.また,qNMRは,あらゆる有機化合物の絶対定量にも応用可能であり,分析値の信頼性向上のための重要な1つのツールとしてなりうるものと思われる.
著者
河村 葉子 六鹿 元雄
出版者
国立医薬品食品衛生研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

昨年度の本研究において、ベンゾフェノン類のエストロゲン活性を酵母Two-Hybrid試験により試験したところ、ベンゾフェノン水酸化体19化合物中15化合物で活性がみられ、そのうち4化合物はビスフェノールAよりも強い活性を示した。そこで今年度は、チャイニーズハムスター卵細胞にヒトエストロゲンレセプターα(ERα)あるいはヒトアンドロゲンレセプター(AR)を組み込んだレポータージーンアッセイ系であるERα-およびAR-EcoScreen(大塚製薬)を用いて、ベンゾフェノンおよびその水酸化体のエストロゲン活性および抗アンドロゲン活性を調べた。その結果、ベンゾフェノンを含む18化合物でエストロゲン活性が見られ、中でも2,4,4'-trihydroxybenzophenone、2,4-dihydroxybenzophenone、3-hydroxybenzophenone等ではビスフェノールAとほぼ同等の活性であった。3または4位に水酸基をもつと活性が強く、2位のみでは活性が低い構造活性相関がみられた。本法と酵母Two-Hybrid試験で得られた活性強度には相関が見られた(r=0.79)が、両環に配位した水酸基の影響に相違がみられた。また、誘導された発光強度がエストラジオール(E_2)を上回るスーパーアゴニズムが多くの化合物で観察された。一方、抗アンドロゲン活性においては17化合物で活性が見られた。2,4,4'-trihydroxybenzophenone、2,2',4,4'-tetrahydroxybenzophenone等の活性が強く、これらはp,p'-DDEとほぼ同程度であり、IC_<50>の前後の化学物質濃度で細胞活性は70%以上あり、細胞毒性の影響はほぼみられなかった。これらのエストロゲン活性と抗アンドロゲン活性の強度には相関がみられた(r=0.68)。これらのベンゾフェノン水酸化体のうち、食品用器具・容器包装の紫外線吸収剤として使用される2-hydroxy-4-methoxybenzophenone、2,2'-dihydroxy-4-methoxybenzophenoneについて、製品中の残存実態を調査したところ、ポリエチレン50検体、ポリプロピレン39検体、ポリスチレン25検体、ポリ塩化ビニル39検体、ポリ塩化ビニリデン7検体からは検出されなかった。しかし、ところてんの包装容器(ポリ塩化ビニル製、1997年購入)から前者が70μg/g検出された。このほか、ベンゾフェノン水酸化体は日焼け止めや化粧品に使用され、またベンゾフェノンが体内で代謝されて生成することから、内分泌かく乱作用および人への暴露についてさらに検討が必要であろう。