- 著者
-
武田 真莉子
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.150, no.3, pp.148-152, 2017 (Released:2017-09-09)
- 参考文献数
- 24
- 被引用文献数
-
1
鼻(鼻腔)は,生体にとって呼吸器系の入り口として必要不可欠な部位であると共に薬物投与部位としても古くから利用されてきた.鼻粘膜は低分子のみならず高分子物質に対しても比較的高い透過性を示すため,ペプチドやタンパク質に代表されるバイオ医薬品の投与部位としても利用され,1980年代頃より複数のペプチド薬物が鼻腔内投与製剤化され上市されるに至っている.また解剖学的には,鼻腔内で脳に直接つながっている経路(nose-to-brain経路)があることは古くから知られていたが,近年この経路が難治性中枢疾患治療薬の脳内送達において新たに着目されている.本稿では,鼻腔粘膜の構造と機能および鼻腔を薬物投与経路とする最近の基礎ならびに臨床研究の動向について紹介する.