著者
井上 美保 井口 隆文 川田 あゆみ 佐藤 直樹 渡辺 敏郎 段 武夫 田辺 創一 武藤 徳男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.499-504, 2008

大麦醗酵エキスと赤紫蘇エキスを主成分とした大麦赤紫蘇飲料の摂取がスギおよびヒノキ花粉症患者の症状に及ぼす影響について検討した。被験者は, スギ花粉症の症状を有し, 血液検査でスギRASTスコァーが陽性と判定された25人を対象とし, スギ花粉が飛散する前から大麦赤紫蘇飲料を飲用するA群と花粉が飛散してから飲用を開始するB群の2群に分けて実施した。くしゃみと鼻水 (鼻をかんだ回数) のスコアーでは, スギの花粉が飛散するとB群のスコアーが常に高値を示し, 症状が悪化した。一方で鼻詰まりと目のかゆみに関しては両群ともに差は認められなかった。鼻症状の総合的判断である鼻Symptom ScoreとSymptom Medication Scoreでは, スギの花粉飛散後, B群が高値を示し, A群は軽症であった。大麦赤紫蘇飲料は, 大麦醗酵エキスを主成分とする飲料であり, 大麦赤紫蘇飲料による花粉症症状の軽減効果は, 主として大麦醗酵エキス成分による効果と考えられた。