著者
渡辺 敏郎
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.282-291, 2012 (Released:2013-10-08)
著者
渡辺 敏郎
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.282-291, 2012 (Released:2017-12-12)
参考文献数
25
被引用文献数
1 8

平成22年11月にNHKの「ためしてガッテン」が,酒粕の効能と調理方法について取り上げ放送したところ,消費者から大きな反響があり,酒粕の在庫切れなどを招いたことは記憶に新しい。レジスタントプロテインは番組で取り上げられた食物繊維様の活性を持つ物質である。レジスタントプロテインは米貯蔵タンパク質のプロラミンに由来するタンパク質で,醪中で溶解せず,胃酸でも分解されることなく小腸に達し,種々の生理機能を発揮する。発酵食品である酒粕は栄養学的に優れているのみならず,多くの機能性が報告されているが,ここでは,レジスタントプロテインを中心にその機能性を紹介していただいた。まだまだ遅れている酒粕の有用性研究の発展と酒粕の復権につながれば幸いである。
著者
井上 美保 井口 隆文 川田 あゆみ 佐藤 直樹 渡辺 敏郎 段 武夫 田辺 創一 武藤 徳男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.499-504, 2008

大麦醗酵エキスと赤紫蘇エキスを主成分とした大麦赤紫蘇飲料の摂取がスギおよびヒノキ花粉症患者の症状に及ぼす影響について検討した。被験者は, スギ花粉症の症状を有し, 血液検査でスギRASTスコァーが陽性と判定された25人を対象とし, スギ花粉が飛散する前から大麦赤紫蘇飲料を飲用するA群と花粉が飛散してから飲用を開始するB群の2群に分けて実施した。くしゃみと鼻水 (鼻をかんだ回数) のスコアーでは, スギの花粉が飛散するとB群のスコアーが常に高値を示し, 症状が悪化した。一方で鼻詰まりと目のかゆみに関しては両群ともに差は認められなかった。鼻症状の総合的判断である鼻Symptom ScoreとSymptom Medication Scoreでは, スギの花粉飛散後, B群が高値を示し, A群は軽症であった。大麦赤紫蘇飲料は, 大麦醗酵エキスを主成分とする飲料であり, 大麦赤紫蘇飲料による花粉症症状の軽減効果は, 主として大麦醗酵エキス成分による効果と考えられた。
著者
渡辺 敏郎 川田 あゆみ 井上 美保 石原 伸治 辻 啓介
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.415-418, 2007-09-15
参考文献数
13
被引用文献数
2 3

カキドオシ抽出物が本態性高血圧自然発症ラット(SHR)への血圧上昇抑制に対してどのような影響を及ぼすかを検討した.カキドオシ全草から熱水抽出することで収率20%のカキドオシ抽出物を得た.この抽出物には灰分が多く含まれ,特にカリウム(K)含量が高かった.カキドオシ抽出物を飼料中へ5%添加し,28日間SHRに自由摂取させると,試験14日後から対照群に比べて有意に血圧の上昇を抑制した.24時間尿を採尿し,ナトリウム(Na)およびK排泄率を算出したところ,カキドオシ抽出物を摂取することでNaおよびK排泄率ともに有意に増加した.これはカキドオシ抽出物に含まれるKの摂取によりSHRのNa排泄効果を促したことで,血圧上昇抑制作用を示したものと考えられた.
著者
石原 伸治 川田 あゆみ 井上 美保 渡辺 敏郎 辻 啓介
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.412-414, 2007-09-15
参考文献数
8
被引用文献数
2

正常ラットにおけるカキドオシ抽出物の経口糖負荷試験では,ショ糖負荷30分後から60分後にかけての血糖値で,カキドオシ抽出物群は対照群と比べて有意(<I>p</I><0.01)な上昇抑制効果を示した.また,ストレプトゾトシン糖尿病ラットにおける経口糖負荷試験では,ショ糖負荷60分後から90分後にかけての血糖値で,カキドオシ抽出物群は対照群と比べて有意(<I>p</I><0.05)な上昇抑制効果を示した.さらに,カキドオシ抽出物を固相抽出カラムでシリカゲル担体吸着画分と非吸着画分に分けたところ,非吸着画分に血糖値上昇抑制作用が認められた.
著者
鈴木 誠 渡辺 敏郎 三浦 麻子 原島 恵美子 中川 靖枝 辻 啓介
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.507-511, 2002-07-15
参考文献数
20
被引用文献数
13 18

本実験ではFolin-Denis法の抽出溶媒の比較検討をおこなった.抽出溶媒には,蒸留水,各種濃度の含水メタノール,含水ェタノール,含水アセトン,およびDMSOを用いた.<BR>結果は各試料ごとに異なり,赤ワイン抽出物では含水エタノール,緑茶抽出物では含水メタノール,イチョウ葉抽出物では含水アセトンが高い値を示したが,DMSOで抽出すると,いずれの試料を用いた場合でも最も高い値を示した.また添加回収実験では,DMSOで抽出した場合に添加した(+)-カテキンが最も効率よく回収できた.このことより,Folin-Denis法における抽出溶媒にはDMSOが最も適していることがわかった.
著者
湯川 雅之 伊藤 大輔 峰時 俊貴 渡辺 敏郎 広常 正人
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.12, pp.963-968, 2009 (Released:2016-02-16)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

酒粕の有効活用のため,吟醸酒粕や普通酒粕より資化できる糖質の残存量が少ない液化酒粕を用い,その生理活性を高めたSLIPの製造方法を検討した。液化酒粕をプロテアーゼ剤と共に清酒酵母で再発酵させた結果,米由来の酸性グルテリン,グロブリン,塩基性グルテリンが減少し,TDFとRPの合計量が液化酒粕の1.7倍に高まったSLIPの製造に成功した。試験管レベルで油の吸着実験によりSLIPを評価した結果,メタボリックシンドローム対応素材として市販されている,キノコキトサンの脂質吸着量の約1.5倍となることが確認された。SLIPを摂取することにより,過剰な脂質の吸収を抑制することでコレステロール低下作用や肥満抑制作用が期待できる。