著者
宮竹 貴久 伊良部 忠男 比嘉 良次
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.102-105, 1993-11-15 (Released:2009-05-22)
参考文献数
1

1.ウリミバエの不妊雌が野外でウリ類果実に刺し傷を生じさせるかどうかについて検討した。2.野外網室内の鉢植えに成ったウリ類果実に不妊雌を放して刺し傷を作らせ,その特徴を解析し不妊雌による刺し傷の判定基準の作成を試みたところ,不妊雌によって生じた刺し傷は5タイプに分類できた。3.不妊雌による刺し傷の特徴はウリ類の種類によって異なった。4.この判定基準をもとにウリミバエ不妊雌による栽培ウリ類の推定被害果実率を野外で求めたところ,キュウリ,ヘチマ,ニガウリのいずれにおいても被害果実率は1%以下であった。よってウリミバエ不妊雌の刺し傷によるウリ類栽培への経済的被害は極めて小さいと考えられた。
著者
與儀 喜代政 江原 昭三 比嘉 良次 添盛 浩 新城 朝榮
出版者
The Association for Plant Protection of Kyushu
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.109-112, 1999
被引用文献数
1

トウヨウハダニは1998年8月国内で初めて沖縄本島のパパイヤから見いだされた。本種は熱帯・亜熱帯地方に分布し,海外ではカンキツ類をはじめ,極めて多種類の寄主植物が知られている。そこで1998年8月~1999年3月に沖縄県における本種の寄主植物および分布調査を行った。<BR>1.本県においてトウヨウハダニはパパイヤやシイクワシャーなどの栽培植物を含む14科31種の植物に発生が認められた(第1表)。<BR>2.そのうち発生程度が高い植物はアオギリ,クチナシ,インドソケイ,イヌビワ,オオバイヌビワ,パパイヤ,トックリキワタ,デイゴ,マルバディゴ,ムラサキソシンカ,ナンバンサイカチ,タイワンクズであった。<BR>3.発生程度の高い植物は本種の発生源になりうるので,パパイヤ圃場周辺には植栽しないことが望ましい。また,これらは本種を採集する際の目安としてや,研究等の目的で飼育する際の餌として利用可能と考えられる。<BR>4.分布については,沖縄本島,津堅島,宮古島で本種の発生が認められ,久米島,石垣島,与那国島では認められなかった(第1図)。<BR>5.既発生地からの寄主植物の移動の際は,寄生の有無に留意し,本種の分布拡大を防止する必要がある。<BR>6.本県において今回示した寄主植物以外にも本種が寄生・加害している可能性があるので,他の植物においても,今後注意を払う必要がある。