著者
江原 昭三 後藤 哲雄
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.17-25, 1996-05-25
被引用文献数
11

Panonychus osmanthi Ehara et Gotoh, sp. nov.(モクセイハダニ, 新称)とTetranychus pueraricola Ehara et Gotoh, sp. nov.(ナミハダニモドキ, 新称)を記載した。P.osmanthiは, ミカンハダニP.citri(McGregor)の同胞種であるが, 雌の第3背側後体毛が第3背中後体毛よりも顕著に短く(ミカンハダニでは, 前者が後者よりやや短いか, または後者とほぼ同長), 挿入器はミカンハダニよりも弱い角度で背方に曲がる。本種はモクセイに寄生し, 模式産地は茨城県竜ヶ崎市(キンモクセイ)である。福岡県久留米市産の標本も検し得た。ナミハダニT.urticae Kochの同胞種であるT.pueraricola(休眠性)は, 夏型雌がナミハダニの黄緑型と異なって赤色であるほか, 挿入器の末端の拡張部の径がナミハダニよりもやや短くて約2.1μmである(ナミハダニではこの径は2.5∿2.6μm)。この種の模式産地は茨城県常陸太田市で, 寄主はクズである。
著者
與儀 喜代政 江原 昭三 比嘉 良次 添盛 浩 新城 朝榮
出版者
The Association for Plant Protection of Kyushu
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.109-112, 1999
被引用文献数
1

トウヨウハダニは1998年8月国内で初めて沖縄本島のパパイヤから見いだされた。本種は熱帯・亜熱帯地方に分布し,海外ではカンキツ類をはじめ,極めて多種類の寄主植物が知られている。そこで1998年8月~1999年3月に沖縄県における本種の寄主植物および分布調査を行った。<BR>1.本県においてトウヨウハダニはパパイヤやシイクワシャーなどの栽培植物を含む14科31種の植物に発生が認められた(第1表)。<BR>2.そのうち発生程度が高い植物はアオギリ,クチナシ,インドソケイ,イヌビワ,オオバイヌビワ,パパイヤ,トックリキワタ,デイゴ,マルバディゴ,ムラサキソシンカ,ナンバンサイカチ,タイワンクズであった。<BR>3.発生程度の高い植物は本種の発生源になりうるので,パパイヤ圃場周辺には植栽しないことが望ましい。また,これらは本種を採集する際の目安としてや,研究等の目的で飼育する際の餌として利用可能と考えられる。<BR>4.分布については,沖縄本島,津堅島,宮古島で本種の発生が認められ,久米島,石垣島,与那国島では認められなかった(第1図)。<BR>5.既発生地からの寄主植物の移動の際は,寄生の有無に留意し,本種の分布拡大を防止する必要がある。<BR>6.本県において今回示した寄主植物以外にも本種が寄生・加害している可能性があるので,他の植物においても,今後注意を払う必要がある。
著者
江原 昭三
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.175-176, 1999-11-25