著者
山田 嘉徳 森 朋子 毛利 美穂 岩﨑 千晶 田中 俊也
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
no.6, pp.21-30, 2015-03

本稿では学びに活用するルーブリックの評価に関する方法論を検討する。ルーブリックを用いた評価が注目されるようになった背景を確認し、ルーブリックのタイプとその特徴を整理する。ルーブリックを用いた評価主体・方法に着目しながら、クラスルーブリック、コモンルーブリック、VALUE ルーブリックのそれぞれの活用実態を示す。また、先行研究の知見を踏まえ、ルーブリックによる評価にまつわる課題を指摘した上で、学びに活用するルーブリックの評価の質を保証するための方法論について検討する。特に、質的研究における妥当性に関する議論を手がかりに、ルーブリックを学びに活用するための知見を提示する。具体的には、ルーブリックの評価基準の妥当性の担保において、トライアンギュレーション概念が有効であるのに対し、ルーブリックの学びへの活用という点においては、妥当化、決定に至る足跡といった概念が有効であることを示す。最後に、評価活動への参加という観点から、学びとしての評価における学習メカニズムの仔細な検討が学びに活用するルーブリックの可能性を議論する上で重要な課題となることを指摘する。
著者
毛利 美穂 Miho MORI
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.(77)-(88), 2009-03-31

日本最古の仏教説話集とされる『日本霊異記』下巻三十八縁には表相譚がえがかれている。表相思想とは、まず前兆「表」があらわれ、その後、その必然的な結果「答」が到来するという考えで、当事者の善悪にかかわる倫理的行為を起因とする仏教の因果応報とは異なる考えであることから、当該縁は、特異な存在として位置付けられている。当該縁には「狐鳴」「狐屎矢」という現象が記され、それが景戒の息子と馬の死をもたらすものをして登場する。この「狐」の凶兆性と、道教医療思想による狐の呪的要素を指摘することにより、景戒が当該縁に課した真の意味を明らかにする。