著者
高木 啓伸 村田 将之 佐藤 大介 田中 俊也 籔内 智浩 粥川 青汰 木村 駿介
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.d12-d29, 2022-10-15

視覚障がい者の自由な移動を可能にするため,白杖やスマートフォンアプリなどさまざまな支援技術が開発されてきた.しかし初めて訪れる公共空間での移動は依然として困難である.そこで行き先を対話的に選択することで目的地まで誘導する,スーツケースを模した自律型ナビゲーションロボットシステム「AIスーツケース」を開発した.本稿では開発のきっかけから複数企業による共同開発に至った経緯を紹介するとともに,AIスーツケース・システムを構成する技術について解説する.各組織が実施している実験から得られつつある最新の知見を紹介するとともに,今後の普及に向けた技術的,制度的,社会的課題について考える.
著者
山田 嘉徳 森 朋子 毛利 美穂 岩﨑 千晶 田中 俊也
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
no.6, pp.21-30, 2015-03

本稿では学びに活用するルーブリックの評価に関する方法論を検討する。ルーブリックを用いた評価が注目されるようになった背景を確認し、ルーブリックのタイプとその特徴を整理する。ルーブリックを用いた評価主体・方法に着目しながら、クラスルーブリック、コモンルーブリック、VALUE ルーブリックのそれぞれの活用実態を示す。また、先行研究の知見を踏まえ、ルーブリックによる評価にまつわる課題を指摘した上で、学びに活用するルーブリックの評価の質を保証するための方法論について検討する。特に、質的研究における妥当性に関する議論を手がかりに、ルーブリックを学びに活用するための知見を提示する。具体的には、ルーブリックの評価基準の妥当性の担保において、トライアンギュレーション概念が有効であるのに対し、ルーブリックの学びへの活用という点においては、妥当化、決定に至る足跡といった概念が有効であることを示す。最後に、評価活動への参加という観点から、学びとしての評価における学習メカニズムの仔細な検討が学びに活用するルーブリックの可能性を議論する上で重要な課題となることを指摘する。
著者
田中 俊也 砂山 琴美
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-8, 2013-03

本研究では、自分自身が認知しているライティングの力と、それに関連する諸変数間の関係を、主に共分散構造分析の手法を用いて分析し、ライティングにまつわるさまざまな心理的要因相互の関わりを検討した。被調査者は大学生123名であった。質問項目は、大きく4つの尺度から構成された。普段からちゃんと物事を考えたり、それを楽しんだりする動機づけがどの程度あるのかを測定する「認知欲求」、社会的場面における自己制御能力を測定する「社会的自己制御力」、対人コミュニケーション力のうちの「自己主張」、「他者受容」、「関係調整」の力、それに「認知されたライティング力」であった。分析の結果、ライティング力には認知欲求の高さが直接的に影響を及ぼしていること、認知欲求は、自己制御力と相まって対人コミュニケーション力に影響を及ぼし、まわりまわってそれがライティング力に影響するというルートも見出された。