著者
水戸 康夫 進本 眞文 内藤 徹
出版者
九州共立大学
雑誌
九州共立大学経済学部紀要 (ISSN:13402641)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.19-33, 2004-06-30

本論は、先手後手のある逐次手番ゲームにおいて、後手番のプレイヤーの選択行動に注目した。「被験者が実際に合理的な行動を選択するのか」について実験を行ない、実験の結果、必ずしも被験者は合理的な選択行動を行わないことを確認した。被験者が非合理な選択を行なう理由として、「負けることの忌避」動機が重要であることを見いだした。これは、「負けることの忌避」動機という感情要因が、より多くのボーナス点という理性要因よりも重視されうることを示唆している。
著者
水戸 康夫 進本 眞文
出版者
九州共立大学
雑誌
九州共立大学経済学部紀要 (ISSN:13402641)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.61-75, 2005-03-30

山岸・清成・谷田(2002)は,「安心」ゲームと誤解することが,協力に対応する選択を行なう主たる理由であるとしているが,実験1より山岸・清成・谷田(2002)の分析に疑義を持たざるえないことを指摘した。また,「負けることの忌避」動機による「選択B」の選択が,「安心」ゲームと「チキン」ゲームで4分の1程度となっている。このため,合理的な選択であることを認識していても,選択しない被験者が4分の1程度存在することを明らかにする。
著者
水戸 康夫 進本 眞文 八島 雄士
出版者
九州共立大学
雑誌
九州共立大学経済学部紀要 (ISSN:13402641)
巻号頁・発行日
vol.111, pp.37-45, 2008-02

期待効用理論は、各選択肢における効用に確率を掛け合わせることによって期待効用値を算出し、期待効用値の最大の選択肢が選択されると見る理論である。しかし、本論の実験において、多くの実験協力者が確率計算を行なっていないことを見いだした。したがって、期待効用理論に基づいて意思決定を行なっている実験協力者が少ないことが指摘できる。この事実から、本論は期待効用理論を用いた研究は適切とはいいきれないことを主張する。
著者
水戸 康夫 八島 雄士
出版者
九州共立大学
雑誌
九州共立大学経済学部紀要 (ISSN:13402641)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.69-82, 2007-03

実験協力者の利得は低くなるが、それ以上に相手プレイヤーの利得を低下させることのできる選択(「選択B」)の存在する保証ゲーム(表1と表2)を作成し、相手プレイヤーの利得低下分の大きいゲームの方が、「選択B」選択比率は低くなるか実験を行なった。実験では、表1と表2における「選択B」選択比率は同じとなった。利得における大小関係(利得の大きい方を勝つ側とする時、実験協力者が勝つ側であるか否か)は、選択行動に大きな影響を与え、相手プレイヤーと実験協力者の利得における差の大きさは、選択行動にほとんど影響を与えないと見ると、選択比率が同じとなる実験結果を適切に説明できる。