- 著者
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香川 明男
大貝 猛
水本 将之
- 出版者
- 長崎大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2005
積層造形法は当初プラスチックなどの成形用金型の模型を作製する迅速模型作製法(Rapid Prototyping)として幅広く研究されてきたが,近年,機械部品などの製品そのもののニアネットシェイプ製造法として脚光を浴びて来ている.RP技術の一つである溶融紡糸堆積(Fused Spinning Deposition)法は,プラスチックを対象とした技術として研究されてきたが,本研究課題は金属製品そのものの製造法としての応用を目指したものである.研究代表者らは1995年に米国,ドイツとほぼ機を同じくして積層造形法による金属製品の製造技術に関する研究をスタートさせ,本研究課題の基礎となる溶融紡糸堆積(FSD)法を用いてアルミニウム合金と銅合金の円筒,角筒,板,棒などの基本形状ならびにそれらの組み合わせ形状について,形状制御パラメータのデータベース化を進めてきた.本究課題では材料と形状の適用範囲の拡大を図るために,以下の3点の改良を加えた装置の試作を行った.1.基板駆動部を回転とX-Y-Zの3軸駆動を一体化したものに改良する.2.合金溶解部に予備溶解用高周波コイルと溶湯搬送システムを組込むことにより連続溶解ができるように改良する.3.溶湯流出部を2ノズルとし,異材複合構造体にも適用範囲を広げる.これらをもとにマルチノズルを用いた場合の金属部品の製造パラメータを整理し,より大型の金属部品製造へのFSD法の応用展開を図ることを目指した.得られた結果から,FSD法による精密かつ大型の金属部品の製作のために必要な試作機の開発および種々の合金系における積層条件に関する基礎的知見を十分に得ることができた.