著者
佐々木 和子 水本 有香 小川 千代子
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.65, pp.134-143, 2013-11-30

2011年3月11日におこった東日本大震災では、文化庁は文化財レスキュー事業を立ち上げた。歴史資料ネットワーク(神戸)は、宮城資料ネットとともにその事業に加わり、地域の「記録」の救出をおこなった。救出対象となった「文化財」の範囲は、非常に幅広く、いわゆる「文化財」「美術工芸品」だけでなく、通常「文化財」と認識されていないものも救出した。そこには被災行政文書も含まれた。宮城資料ネットは、津波被災地をまわり、90件の緊急資料救出活動を実施した。そのうち、67件を仙台市に搬送し、ボランティアの手で応急処置を施している。神戸大学は、阪神・淡路大震災での救出された資料がその後どうなっているかの調査をおこなった。その結果、すべての資料の保存先と、約80%の資料の目録作成がおこなわれていることが判明した。中越地震の後では、資料ボランティアの仕事の細分化をおこなったことにより、東日本大震災では、多くのボランティアの参加が可能となった。
著者
佐々木 和子 水本 有香 小川 千代子
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.101-109, 2012

東日本大震災被災地では、現在もNPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク(以下宮城資料ネット)などボランティアグループ等が中心となり、被災史(資)料の救出をおこなわれている。災害時の史(資)料救出活動は、1995年(平成7)におこった阪神・淡路大震災時の歴史資料ネットワーク(史料ネット)に始まる。その後大きな災害後には、被災地に史料を救出保全するネットワークが作られ、全国に広がっていった。2004年からは水害後の史料救出活動が始まり、そのノウハウが蓄積され、現在東日本大震災被災地で生かされている。本稿では、これらの活動の概観とともにその課題についても考察する。