著者
佐々木 和子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.e19-e23, 2023 (Released:2023-06-12)
参考文献数
8

神戸大学附属図書館震災文庫では、阪神・淡路大震災直後のサンテレビ震災関連映像を、2021年1月から4回にわたって、公開用動画1件、素材映像189件を公開している。公開の障壁となってきた肖像権について、デジタルアーカイブ学会「肖像権ガイドライン」を参考に判別をおこなった。作業は、人文学研究科教員たちが一コマずつ映像を確認し、その後サンテレビ、震災文庫、神戸大学人文学研究科の三者での検討会で協議を経て公開にいたった。阪神・淡路大震災から28年経た。今回の検討の結果、ガイドラインを利用して丁寧にポイント計算していけば、ほとんどの映像の肖像権による壁は越えうることがわかった。今後は、阪神・淡路大震災被災地共通のポイントのあり方を考え、災害アーカイブに適したガイドラインの作成が課題である。
著者
奥村 弘 市沢 哲 坂江 渉 佐々木 和子 平川 新 矢田 俊文 今津 勝紀 小林 准士 寺内 浩 足立 裕司 内田 俊秀 久留島 浩 伊藤 明弘 松下 正和 添田 仁 三村 昌司 多仁 照廣
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

大規模自然災害と地域社会の急激な構造転換の中で、歴史資料は滅失の危機にある。その保存活用を研究する新たな学として地域歴史資料学の構築をめざした。その成果は、第1に、地域住民もまた保存活用の主体と考え地域歴史資料を次世代につなぐ体系的な研究手法を構築しえたことにある。第2は、それを可能とする具体的な地域歴史資料の保存と修復の方法を組み込んだことである。第3は、科研の中間で起こった東日本大震災での地域歴史資料保存について理念と具体的な方法を提示するとともに、全国的な研究者ネットワークによる支援体制を構築したことである。第4は、地域歴史資料学をグローバルイシューとして国際的に発信したことである。
著者
平澤 美恵子 新道 幸恵 内藤 洋子 佐々木 和子 熊沢 美奈好 松岡 恵
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.21-31, 1988

助産婦の新卒者が助産婦としての能力に習熟する過程と, その過程に影響する要因を明らかにする目的で, 国立および公的助産婦学校3校の卒業生92名を対象に, 妊産婦へのケア能力を中心に, 1年間追跡調査した。<BR>対象の平均年齢は23.5歳, 看護婦歴のあるものは34.7%, その平均職歴は2.6年, 200~999床の病産院に勤務したものが過半数である。対象者の大半が妊産婦ケア能力の到達状況がよくなるのは就後1年時である。新生児の仮死蘇生術やハイリスク新生児の看護は、1年時になっても未経験者が多い。<BR>仕事ぶりに満足という意識をもつ人の割合は経時的に増加し, それとともに, その意識に相関する妊産婦ケア能力の項目が増加している。職場の人間関係に関する意識にも能力の到達状況と相関が認められた。その意識のうち, ケア能力の到達項目の多くと相関がみられたのは, 1か月時には職場の雰囲気がよい, 6か月時には職員の意見交換が多い, である。
著者
塩田 明雄 松井 則明 藤澤 忠光 後藤 秀比古 小松 昭善 吹野 陽一 寺田 恵子 高柳 直巳 鹿島 信一 佐々木 和子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.193, 2005

【目的】当院では、診療報酬請求をより適正に行なうため各種対策を行なってきた。具体的には、請求漏れと保険査定減対策、当月分未請求レセ・月遅れ請求レセ管理対策である。<BR>【方法】(1).診療報酬請求漏れ対策は平成15年から医事入院係各自がそれぞれ各請求担当分野の請求漏れをあらためて検証した。<BR>(2).平成16年からは医事外来係まで拡大し、請求診療科ごとに同じように請求漏れを検証した。<BR>(3).(1)(2)の方法、結果はいずれも各自・各グループからパワーポイント資料を使った発表会を行い医事職員全員に周知した。<BR>(4).保険査定減対策は、査定事前対策として医師による請求時のレセプトチェック、対策委員会での再請求審査、委員会作成の医師用簡易レセプトチェックリスト周知などである。これら委員会の情報は院内情報システムで閲覧できる。<BR>また、医事知識を得る上でも病棟カンファレンスにも参加した。<BR>(5).当月保留レセ・月遅れ請求レセ管理対策も新たに開始した。<BR>【結果】請求漏れ対策では入院関係がH15年、H16年の検証テーマ数はそれぞれ13題、外来の検証テーマ数は16年12題である、テーマは豊富である。<BR> 保険査定減対策はH15年、H16年年間平均比較で保険査定率平均(1か月)で0.43%から0.30%に、保険査定金額では同様に5,543千円/月から3,953千円/月に減少した。<BR> 当月未請求レセ・月遅れ請求レセ管理対策では月毎に多少の凸凹はあるものの件数、点数共に減少傾向である。<BR>【考察】請求漏れ対策については、テーマが豊富であるということは漏れがないとはいえない。しかし職員がその請求漏れを掌握しつつあることは確かである。保険査定減対策は大幅に減少している。顕著な成果がでてきた。返戻レセまたは月遅れレセの早期提出も以前より停滞が減少した。管理が行き届いた成果と考える。<BR>【まとめ】診療報酬請求の適正化対策は、どの対策も結果は良好であった。今後も引き続き適正請求を積極的に展開したい。<BR>
著者
佐々木 和子 水本 有香 小川 千代子
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.65, pp.134-143, 2013-11-30

2011年3月11日におこった東日本大震災では、文化庁は文化財レスキュー事業を立ち上げた。歴史資料ネットワーク(神戸)は、宮城資料ネットとともにその事業に加わり、地域の「記録」の救出をおこなった。救出対象となった「文化財」の範囲は、非常に幅広く、いわゆる「文化財」「美術工芸品」だけでなく、通常「文化財」と認識されていないものも救出した。そこには被災行政文書も含まれた。宮城資料ネットは、津波被災地をまわり、90件の緊急資料救出活動を実施した。そのうち、67件を仙台市に搬送し、ボランティアの手で応急処置を施している。神戸大学は、阪神・淡路大震災での救出された資料がその後どうなっているかの調査をおこなった。その結果、すべての資料の保存先と、約80%の資料の目録作成がおこなわれていることが判明した。中越地震の後では、資料ボランティアの仕事の細分化をおこなったことにより、東日本大震災では、多くのボランティアの参加が可能となった。
著者
佐々木 和子 水本 有香 小川 千代子
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.101-109, 2012

東日本大震災被災地では、現在もNPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク(以下宮城資料ネット)などボランティアグループ等が中心となり、被災史(資)料の救出をおこなわれている。災害時の史(資)料救出活動は、1995年(平成7)におこった阪神・淡路大震災時の歴史資料ネットワーク(史料ネット)に始まる。その後大きな災害後には、被災地に史料を救出保全するネットワークが作られ、全国に広がっていった。2004年からは水害後の史料救出活動が始まり、そのノウハウが蓄積され、現在東日本大震災被災地で生かされている。本稿では、これらの活動の概観とともにその課題についても考察する。