- 著者
-
水本 洋
- 出版者
- 鳥取大学
- 雑誌
- 一般研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1990
初年度においては無限剛性エア-スピンドルの構成要素となる静圧式自動調整絞り付き空気静圧スラスト軸受と排気制御絞り付き空気静圧スラスト軸受とを設計,製作した.スラスト軸受はスラストプレ-トの直径が65mmであり,自動調整絞りの特性を容易に変更できる構造となっている.また,ラジアル軸受は軸径40mmの複列であり,絞り開度の調節には圧電素子が使用される.ラジアル軸受単独の負荷特性の測定結果より,空気の供給圧0.49MPaの状態で約70Nの荷重範囲にわたって無限大のラジアル剛性が得られた.次年度においてはまず,初年度に製作された静圧式自動調整絞り付き空気静圧スラスト軸受の負荷特性を解析した.特性解析の結果,空気の供給圧が0.49MPaの状態で約240Nの荷重範囲にわたってスラスト剛性を無限大とすることができたほか,正剛性および負剛性の特性を持たせられることを確認した.つぎのこのスラスト軸受と,初年度に製作された排気制御絞り付き複列空気静圧ラジアル軸受とを組み合わせて無限剛性エア-スピンドルを構成し,その特性を解析した.排気制御絞りを複列のxy方向の合計4カ所に取り付け,軸位置を制御した.解析の結果,軸受からオ-バハングしたスピンドル先端においてもスラスト,ラジアル方向とも剛性を無限大とすることができた.回転精度に関しては,数10rpm程度の回転数範囲において,スラスト方向で20nm以内の回転精度が得られた.一方,ラジラル方向に関しては排気制御絞りを作動させない状態での回転精度が0.3μmであるのに対し,排気制御絞りを作動させることで50nm以内の回転精度を得ることができた.以上のように,自動調整絞りを使用することで空気静圧軸受の剛性を無限大にするとともに,回転精度も向上させることができ,本研究の所期の目的を達成することができた.