著者
草田 裕紀 水田 孝信 早川 聡 和泉 潔 吉村 忍
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

本研究では人工市場を用いて高頻度取引を行うマーケットメーカーが株式市場の出来高に与える影響の分析を行った。近年高頻度取引や代替市場の増加による株式市場の複雑化が指摘されており、本研究では2市場間の出来高シェアの関係に着目してマーケットメーカーの影響を検証した。検証の結果、マーケットメーカーのスプレッドはマーケットスプレッド以下の値でも2市場間の出来高シェアの変化に影響を与えることを明らかにした。
著者
八木 勲 水田 孝信 和泉 潔
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.2388-2398, 2012-11-15

企業不祥事や自然災害の影響でファンダメンタルズが急激に悪化し,その企業の株価が暴落することがある.その直後,株価が反発することも経験的に知られている(リバーサル現象).これまでの実証研究では,リバーサル現象の発生要因はオーバリアクション仮説が有力視されているものの,定量的な評価は行われておらず,はっきりとした結論は出ていない.本研究では,価格決定方式の1つである板寄せ方式を採用した人工市場を用いて,理論株価急落を原因とする株式市場の暴落に対して,オーバリアクション仮説を考慮せずにリバーサル現象が発生することを確認した.そして,リバーサル現象発生時の取引価格決定メカニズムを分析し,エージェントの予想株価のばらつきと注文の需給関係の偏りによってリバーサル現象が引き起こされることを突きとめた.一方,ザラ場方式を採用した人工市場を用いると,リバーサル現象が必ずしも起こるとは限らないことが判明した.その結果,板寄せ方式を採用した市場の方が,ザラ場方式を採用した市場よりもリバーサル現象が発生する可能性が高いと考えられる.