- 著者
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水谷 高彰
- 出版者
- 独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
- 雑誌
- 労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.1, pp.45-48, 2009 (Released:2009-06-30)
- 参考文献数
- 5
近年,オゾナイザー(酸素をオゾンにする装置)の開発により,10vol.%を超える高濃度オゾンガスが酸素ガスから直接,得られる様になった.前報では,オゾン濃度15vol.%以下,初圧1.0MPa以下の条件下における分解爆発限界濃度や最大爆発圧力,火炎伝ぱ機構とオゾン濃度,圧力の関係を実験から明らかにした.本研究ではオゾン濃度15vol.%以下,大気圧のオゾン/酸素混合ガスの最小着火エネルギーを測定した.最小着火エネルギーはオゾン濃度の増加にともない,指数関数的に減少し,オゾン濃度15vol.%近傍では10mJ程度となった.この値は,大気圧下、化学量論組成近傍のメタン/空気混合ガスの最小着火エネルギー0.2mJより大きい値であるが,可燃性粉じんの爆発における最小着火エネルギー1~300mJ程度から比較すると決して大きい値ではない.オゾナイザーの開発がさらに進み,15vol.%を超えて高い濃度のオゾン/酸素混合ガスが製造される様になれば可燃性混合ガスと同程度,もしくはそれ以上に着火危険性が高い混合ガスになることが示唆される.最小着火エネルギーの測定条件の検討のため,放電間隙を変えて14vol.%オゾン/酸素混合ガスの最小着火エネルギーを測定した結果,放電間隙3~4mmで最小値をとった.この結果は,消炎距離が2~3mmであるという以前の研究結果と符合した.