著者
津嶋 勇一 吉岡 準平 藤田 和樹 水野 勝則
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.775-778, 2016 (Released:2016-10-27)
参考文献数
25
被引用文献数
2 2

〔目的〕端座位で上肢挙上を保持する背筋トレーニングは立位よりも骨盤後傾を伴いやすい.今回,骨盤傾斜角度が上肢挙上時の背筋活動に及ぼす影響について検討した.〔対象と方法〕整形外科的疾患の既往が無い健常男性10名とした.測定肢位は端座位とし,上肢90°挙上位を保持させた.測定条件は骨盤前傾5°,後傾5°,後傾15°とし,右側の僧帽筋上部,中部,下部線維,腰部脊柱起立筋,多裂筋の筋電図を導出した.〔結果〕骨盤後傾によって多裂筋活動の減少,僧帽筋活動の増加が認められた.〔結語〕上肢挙上による背筋トレーニングを端座位で行う場合は,骨盤前傾位で実施することで僧帽筋の過活動が起こらず,選択的な多裂筋活動の増加が期待できる.
著者
伊藤 直之 大谷 浩樹 山崎 孝 堀 秀昭 水野 勝則
出版者
新田塚医療福祉センター
雑誌
新田塚医療福祉センター雑誌 (ISSN:13492519)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-4, 2010-03-31

神経根症状を伴わない急性腰痛患者8例に対し、腰部運動時痛の軽減に焦点を絞り徒手療法を試みた。腰部運動時痛を発生する部位を抽出するために圧痛所見を確認し、圧痛が認められた椎間関節と仙腸関節にはモビライゼーションを、多裂筋と腰方形筋にはリラクゼーションの徒手療法を施行した。徒手療法の即時効果の判定には、腰部運動時痛の強さ、及び可動性運動時痛の強さ、及び可動性評価として腰椎後彎可動性テスト、長座位での体位前屈、上体反らしを徒主療法前後で測定した。その結果、腰部運動時の強さ、腰椎後彎可動性テスト、長座位での体位前屈、上体反らしのすべての効果判定項目で徒手療法後に有意な改善を認めた。徒手療法の即時効果の要因として、体幹伸筋群の筋スパズム軽減による伸張性向上や腰部可動性向上による機械的ストレスの軽減が挙げられ、これらの要因が腰部運動時痛の軽減に繋がったと考えられた。よって、徒手療法の即時効果として運動時痛軽減の効果が期待できることが示唆された。