著者
水野 英一 河島 信樹
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.161-185, 1988-03

通常は地球ステーションと惑星探査機間の情報のやりとりのために使うマイクロ波が, 太陽コロナ, 惑星大気, リング, 重力物理学の検証などの研究のために用いられてきた。この種の観測は, 惑星探査機がこれらプラズマ, 大気, リングなどにoccultationを受けることを利用しているのでoccultation観測と呼ばれる。Occultation観測において, 観測(そして記録)される量は基本的には惑星探査機から発射されて, 興味ある領域を通ってきたマイクロ波の電圧だけである。従って得られたデータから知りたい物理量(例えば大気の温度, リングの厚さ, プラズマ密度など)を求めるには, なんらかの数学的手法と物理的な仮定が必要である。この論文ではこの種のデータ取得がいかにして行われてきたか, また物理的, 数学的手法について紹介するとともに1987年7月の『すいせい』occultation観測結果, また1989年8月にNASAとの共同研究が予定されているボイジャー2の海王星/Triton occultation観測についても触れる。
著者
大森 康伸 水野 英一 廣澤 春任
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.94, no.10, pp.17-24, 1994-04-21
被引用文献数
1

海王星の中性大気モデルを推定し、レイ・トレイシングを用いて、NASAの惑星探査機ボイジャー2号から送信されたマイクロ波の大気中での伝搬のシミュレーションを行なった。推定にはボイジャー2号の電波科学観測実験のデータを用いるが、分子数密度分布が特定の緯度でしか得られていないので、これを等ポテンシャル面を参考することにより外挿を行ない、任意の緯度の分子数密度分布を得ている。このシミュレーションは、後のコヒーレント・シグナル・アレイングに用いる位相差の推定のために、2受信局への伝搬経路長の変化を求めるのに用いる。