著者
木内 亮太 杉浦 禎一 岡村 行泰 水野 隆史 金本 秀行 前平 博充 絹笠 祐介 坂東 悦郎 寺島 雅典 上坂 克彦
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.34-41, 2014-01-01 (Released:2014-01-21)
参考文献数
21
被引用文献数
1 3

症例は75歳の男性で,検診の採血で肝機能異常を指摘され,前医で左肝管原発の肝門部胆管癌と診断されたため,当院紹介受診となった.造影CTでは,左肝管から左右肝管合流部にかけて造影効果を伴う壁肥厚と,左葉の肝内胆管の拡張を認めた.内視鏡的逆行性胆管造影では,左右肝管合流部に陰影欠損を認めた.肝門部胆管癌と術前診断し,肝左葉・尾状葉切除,肝外胆管切除再建術を施行した.切除標本では,左肝管から左右肝管合流部に発育する21 mm大の乳頭状腫瘍を認めた.組織学的には,一部扁平上皮癌成分を伴う腺癌成分と,紡錘形細胞の増殖および骨形成を認める肉腫成分が混在していた.免疫組織学的に,肉腫領域は上皮系マーカーであるAE1/AE3が陰性,間葉系マーカーであるvimentinが陽性であった.以上より,左肝管原発の真の癌肉腫と診断した.術後1年経過した現在,無再発生存中である.
著者
水野 隆之
出版者
欧米言語文化学会
雑誌
Fortuna
巻号頁・発行日
no.20, pp.13-21, 2009
著者
辻 英明 水野 隆夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.101-111, 1972
被引用文献数
7

チャバネ, ワモン, クロ, ヤマトの4種のゴキブリが本邦中部の加温されない環境で生活した場合, どのステージで冬を迎えるかを推定するため, 夏および秋を想定した27±1℃1日16時間照明(27℃-L), 20±1℃1日8時間照明(20℃-S), 15±1℃1日8時間照明(15℃-S)の実験条件下で飼育を行なった。結果は次の通りである。1) 27℃-Lでの結果 : 幼虫の令数, 幼虫期間, 卵(鞘)期間はそれぞれチャバネで6令40∿46日, 20日, ワモンで9令105∿161日, 39日, クロで8令84∿112日, 41日であった。ヤマトでは9令あり, 91∿140日で羽化する個体以外に, 終令(9令)で150日以上発育を停止する幼虫が約半数あった。ヤマトの卵鞘は約27日でふ化した。いずれの種も卵鞘の産出は正常であった。2)20℃-Sでの幼虫発育 : チャバネは200∿250日で羽化し, 各令平均して延長した。ワモンでは161日で大部分が6令に達したが, 500∿600日でも羽化できない個体が多く, 終令の遅延が極端とみられた。クロでは2令の延長が特別に著しく80日に及んだ。その延長を含め400∿480日の間に大部分が羽化した。ヤマトでは2令の延長が一層極端で140日以上に及んだ。一方越冬中採集された若令幼虫(2令)は300∿500日で成虫となった。3)20℃-Sでの産卵 : 20℃-Sで羽化したチャバネとワモンは卵鞘を産出せず, クロはわずかの異常卵鞘を産下したにとどまった。一方ヤマトは正常に産卵した。27℃-Lで産卵中の成虫を20℃-Sに移すと, チャバネは正常卵を産まなかったが, ワモンとクロは若干の正常卵を産んだ。4)20℃-Sでの卵のふ化 : チャバネでは, 27℃-Lで卵鞘を形成して24時間以内の成虫を20℃-Sで飼育しても幼虫が生じなかった。27℃-Lまたは20℃-Sで産まれた他種の卵鞘では, ワモンで約100日, クロで約120日, ヤマトで約64日でふ化がみられた。5)15℃-Sでの結果 : どの種類の幼虫も15℃-Sで100日以内には次の令以上に発育することは困難とみられた。27℃-Lでの産卵中の成虫を15℃-Sに移すと, ヤマトはさらに若干の卵鞘を産下したが, 他の種ではいずれも産卵が阻止された。またどの種の卵鞘もこの条件下に保つとふ化せず死亡した。6)以上の結果からPeriplaneta 3種の当年のふ化幼虫は年内に成虫にならず, 特に秋にふ化したクロとヤマトの幼虫は2令で冬を迎えると思われる。またこのような若令で越冬した場合Periplaneta 3種は次の年にも成虫にならない可能性がある。特にヤマトは夏期でも終令で発育を停止し, もう一度越冬する可能性が大きい。この場合, 1世代2年を要する"two-year life cycle"がむしろ正常であることが暗示される。一方, 長い成虫期間, 産卵期間, 卵鞘期間, 幼虫期間から考えて, Periplaneta 3種がすべてのステージで冬を迎えることは十分あり得ることと思われる。チャバネでは卵鞘の形成とふ化が20℃-Sでも妨げられるので, 卵や幼令幼虫で冬を迎える可能性は少ない。各ステージが冬の平均気温下で生存できるかどうかについての実験結果は別途に報告したい。