著者
五福 明夫 永井 伊作 永谷 圭司
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

人間が生活する環境において移動マニピュレータが対象物を探索・把持することは,現在のセンサ技術では,非常に困難である.そこで本研究では,対象物にデバイスを取り付け,このデバイスとロボットに搭載したマーク認識デバイスが通信を行うことで,対象物の識別と位置の確認を行うシステム(インテリジェントマークシステム:IMS)を構築し,さらに獲得した情報をもとに,移動マニピュレータによる対象物の把持・運搬の動作の実現を目指した研究を行った.IMSは,環境に存在する様々な物体に貼付し,それぞれのIMSは識別コードを記憶することが可能である.このIMSから発信する情報を,ロボットに搭載したマーク検出デバイスにより獲得することで,対象物の認識を行うことができる.平成15年度には,平成14年度に作成したプロトタイプのマークを,2cm角の基板上に搭載し,小型のマークを実現した.また,マーク検出デバイスについては,多数の物体に貼付した識別コードの中から特定のグループまたは特定のマークだけを呼び出し交信する機能を実現した.また,このマーク検出デバイスを小型移動マニピュレータに搭載した.さらに,マークの位置認識を行うため,マーク検出デバイスには,視野の広い全方向カメラと,視野の比較的狭いハンドアイシステムを利用したステレオ視システムを導入した.以上に示した通り,本申請研究の2年目には,環境内や対象物体に貼られた小型の複数のIMSとロボットが通信を行う基本システムが完成した.さらに,このシステムを利用し,環境に固定されたIMSとロボットの通信によるロボットの自己位置の推定,環境中の障害物に貼られたIMSとの通信による,障害物の位置認識,さらに,対象物に貼られたIMSによる対象物の把持動作を実現した.