著者
大嶋 萌永 鈴木 絵莉花 井原 勇人 永井 宏平 岸田 邦博
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.155-169, 2021 (Released:2021-08-26)
参考文献数
51

フルクトースの過剰摂取は, メタボリックシンドローム発症との関連が指摘されている。油脂は, 構成する脂肪酸により生理作用が大きく異なる。本研究は, 高フルクトース食に含まれる油脂の違いがラット脂質代謝に与える影響を比較した。ラードを対照として魚油, 大豆油または中鎖脂肪酸油を含む高フルクトース食をラットに4週間給餌したところ, 魚油群は, 著しい脂質代謝改善作用が認められた。大豆油群は, 肝臓脂質の低下が認められたが, 魚油群と比較してその作用は小さかった。中鎖脂肪酸油群は, 腸間膜脂肪における脂肪酸合成関連遺伝子の発現が著しく高く, 脂質代謝改善作用は観察されなかった。肝臓タンパク質発現プロファイルは, 魚油群が特徴的であり, 脂肪酸酸化や酸化ストレス応答に関連するタンパク質発現の上昇が認められた。これらの結果から, 高フルクトース食給餌下における油脂の生理作用の違いが明らかになった。
著者
池上 春香 永井 宏平 松橋 珠子 小林 直彦 武本 淳史 吉廣 卓哉 井上 悦子 樋口 智香 守田 昂太郎 内堀 翔 天野 朋子 田口 善智 加藤 博己 入谷 明 松本 和也
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.141-152, 2015-05-25 (Released:2015-06-18)
参考文献数
17

黒毛和種肥育牛の枝肉形質を推定するバイオマーカー候補タンパク質の同定を目的に,枝肉形質情報ならびに腎周囲白色脂肪組織のプロテオーム解析情報を搭載した統合情報管理システムを運用し,プロテオーム解析データを持つ去勢牛200頭から,5つの形質(枝肉重量・ロース芯面積・バラの厚さ・皮下脂肪の厚さ・BMSナンバー)に関して上位と下位の2群を選抜して,この2群間で314個のタンパク質スポットの発現量と枝肉成績との関連性を検討した.各形質の上位群(平均値+標準偏差)および下位群(平均値−標準偏差)として抽出した個体間の各スポットのタンパク質発現量を比較した結果,合計でタンパク質45種類(90スポット)の発現量に有意な差が認められた.これらタンパク質の一部について,代謝経路における位置付けを行なうとともに,vimentinのウエスタンブロット解析より発現量を検証したところ,枝肉形質を推定するバイオマーカー候補タンパク質としての可能性が示唆された.