- 著者
-
井上 悦子
- 出版者
- 佐賀医科大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1999
「目的」この研究は100歳長寿者の健康度,生活像及び生活支援ニードを明らかにすることを目的とした。「対象」佐賀県に在住する100歳長寿者で承諾の得られた79名を対象とした。「方法」半構成的質問紙を介した面接調査を1.HDS-R 2.Barthel Index 3.老研式IADL 4.AADL 5.PGCモラールスケール6.ライフイベント調査(喜び悲しみの体験,苦労したこと,生きがい)の測定具を使用して行った.「結果」年齢100歳-107.(平均10.1.2)性別男性6名,女性73名,居住場所.在宅22名(27.8%)施設57名(72.2%),HDS-R.8.52,Barthel Index45.38,老研式IADL1.59,AADL1.42,PGCモラールスケール8.79であった。80-90歳寿者24名を同じ尺度で行った調査結果は.HDS-R 19.75,Barthel Index96.67老研式IADL8.21,AADL8.35,PGCモラールスケール9.63であった。身体的能力及び認知能力においては100長寿者と80-90歳寿者の群間にt検定において有意差(P<0.01)があった。ライフイベント調査では両群間においての有意差はなかった。ライフイベントによる生きがいについては,明確に自分の生きがいを答える事ができた者は21名(26.6%)であった。生きがいがあると答えたものには「佐賀県で長寿者一番になるやゲイトボールで勝つ事など人生に対して目的があり,まだまだ何年でも生きたい」と意欲的であった.生きがいがないと答えた対象者はその理由として「ここまで長く生きたからもう十分という満足感」と「長く生きても仕方が無い」「夫・子供・友達も逝ってしまった」という無力感や寂寥感が述べられた。佐賀県に居住する100歳長寿者の主観的幸福感は身体動作能力,認知能力の高い者が生活においても満足しているが全体の概ね1/4の回答によるものであり対象者全体の中では少数である。この考えにおいて100歳長寿者全体としての満足度は低いと考えられる。100歳長寿者がますます増える傾向にあるが,身体能力が低下してない80代からのADLの強化につながる活動計画が100歳長寿者の生活満足感を得る一つの方策と考える。