著者
永尾 晃治 柳田 晃良
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.129-135,128, 2002-03-01 (Released:2013-04-25)
参考文献数
42
被引用文献数
3 2

リン脂質の生理機能に関する最近の研究には目覚ましいものがあり, 様々な実験結果からリン脂質の代謝変動が細胞機能及び生命活動と密接に関わっている事が示されている。リン脂質の生理学的重要性としては, 生体膜の構成成分としてだけでなく, 生理活性物質としてのリン脂質代謝物や細胞内情報伝達物質としてのリン脂質代謝産物が挙げられる。本稿ではリン脂質機能に関する最近の知見, とくにリポタンパク質代謝における役割と食事リン脂質による肝臓や脳機能への栄養薬理学的研究の成果を中心にまとめた。
著者
永尾 晃治 柳田 晃良
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.105-109, 2004-04-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
34
被引用文献数
2 1

共役リノール酸 (CLA) は, 反芻動物由来の食肉や乳製品中に含有する微量脂質成分で, リノール酸の位置・幾何異性体の総称である。これまでにCLAには抗がん作用, 抗肥満作用, 抗動脈硬化作用, 抗糖尿病作用などの生理作用が報告されているが, ごく最近, 抗高血圧作用も見いだされている。すでにCLA異性体の違いによる生理作用の違いについても報告されており, 10t, 12c型は抗がん作用, 抗肥満作用, 抗糖尿病作用を, 9c, 11t型は抗がん作用をもつことが示唆されている。また動物種による応答の違いも一部認められている。ヒトにおけるCLAの生理作用に関しては, ポジティブな効果も報告されているが, 信頼のおける評価を得るにはさらなる臨床研究が望まれる。