著者
矢持 進 江口 充 重松 孝昌 小田 一紀 角野 昇八
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

・本人工干潟は,造成3ヶ月後は窒素生成の場(5.4kg/day)となっていたが,造成から1〜2年経過した時点では窒素固定の場(1年目:-4.7kg/day,2年目:-3.6kg/day)に変化した.さらに,造成3年後には再び窒素生成の場(1.2kg/day)に転じた.人工干潟が栄養物質のSourceかSinkかについては,優占動植物の動態に依存しており,生物相が安定しない若い人工干潟では不安定であると推察された.なお,造成から1〜2年経過した本人工干潟の総窒素固定量(2001年:735mg/m^2/day,2002年:554mg/m^2/day)は,同じ大阪湾に位置する甲子園浜のそれの(356mg/m^2/day)の1.6〜2.1倍であった・小型底生動物の個体数,種類数,湿重量はL.W.L.0〜-2.0mの水深帯で高い値を示した.L.W.L.0mより上部については干出時間が長くなることや砕波による底質攪乱の影響で生物相が貧困になると考えられた.また,L.W.L.-2.0m以深の生物相が貧困になることについては,地盤高が低くなるにつれて底質悪化していることや貧酸素化の影響が考えられた.したがって,浚渫土砂を活用して大阪湾東部沿岸域に人工干潟を造成する場合,底生動物の生息から見た地盤高としてはL.W.L.0〜-2.0m帯の面積を多くすることが望ましいと考えられた.