著者
池埜 聡
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成30年度の成果は以下の5点にまとめられる。1. 情報交流を目的としたインターアクティブなホームページを公開した。2. 客員研究員(Visiting Project Scientist in Psychiatry)として米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部マインドフル・アウェアネス・リサーチ・センター(MARC)に1年間在籍し、米国のマインドフルネス実践の現状と課題の抽出、そしてMARCとの研究・実践における連携体制を構築した。3. MARC提供の1年間マインドフルネス指導者養成プログラム、マインドフルネス・ファシリテーション・トレーニング(Training in Mindfulness Facilitation: TMF) を修了。認定資格であるUCLA-Trained Mindfulness Facilitator 及びInternational Mindfulness Teachers Association (IMTA)-Certified Mindfulness Teacher (CMTP-0146)を取得し、ソーシャルワーク(SW)専門職のストレス低減を超えたSWの価値の体現に資する介入方法としてマインドフルネスを応用する理論と実践方法を修習した。4. 日本マインドフルネス学会及びオックスフォード大学マインドフルネス・リサーチ・センター(OMC)共催によるマインドフルネス認知療法(MBCT)指導者養成プログラム(最終モジュール)を修了。スーパーバイズを受けることでMBCT実践が可能な立場となった。うつ再発予防及びストレス低減などSW専門職のエンパワメントにMBCTを活かす道筋を明確化した。5. TMFとMBCTの比較に基づくマインドフルネス指導者養成の問題、トラウマ被害者などへのマインドフルネスのネガティブな影響、SWの価値に資するマインドフルネスのあり方などをテーマにした学会発表、論文出版及び論文投稿を達成した。
著者
野村 理朗 Rappleye Jeremy 池埜 聡 高橋 英之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

もとより複合的な高次感情である「畏敬」は,喜び・怒り・悲しみといった基本感情とは異なり,それを生じさせる規定条件に不明な点が多い。この正負の方向へと分岐しうる畏敬の発生機序の解明が重要課題であるとともに,AI等の開発,自然災害等に関わる心理支援への応用などの可能性も秘めている。本研究は,心理学,比較文化,ロボット工学等の領域を横断して連携し,複合感情としての「畏敬」の効用,およびその個人差の基盤となる心理・生物学的機構を明らかにするとともに,フィールド調査やロボットを用いた構成論的アプローチを取り入れた方法論により,「畏敬」の応用までを視野にいれた革新的知見を得ることを目指す。
著者
池埜 聡
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.54-66, 2002-03-31 (Released:2018-07-20)

1980年代以降,外傷体験に起因する心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関する研究が数多く報告されるようになった。しかし,トラウマの影響はPTSDの枠組みだけではとらえきれず,とくに長期的影響に関する研究は初期段階にあるといえる。本研究は,トラウマの長期的影響のひとつとして「生存者罪悪感」の問題を取り上げる。そして筆者の臨床および調査経験を踏まえ,生存者罪悪感の概念的枠組みとソーシャルワーク実践のあり方について提言することを目的とする。具体的には,1)生存者罪悪感の概念的枠組みを形成する実存的罪悪感と実体的罪悪感の内容と分類,2)理論,実証,臨床の各側面における先行研究の整理,3)生存者罪悪感への援助方法論,そして4)考察といった項目にまとめて報告する。とくに,援助方法論では,認知療法の枠組みに加えて,1)援助関係構築,2)アセスメント法,3)援助目標の原則,4)セルフヘルプグループの形成と活用,4)ソーシャルワーカーの自己覚知,そして5)その他の留意点といったソーシャルワーク機関における実践的示唆を示す。また,考察では今後の研究課題とソーシャルワークの役割について提言をまとめる。
著者
池埜 聡
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.54-66, 2002-03-31

1980年代以降,外傷体験に起因する心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関する研究が数多く報告されるようになった。しかし,トラウマの影響はPTSDの枠組みだけではとらえきれず,とくに長期的影響に関する研究は初期段階にあるといえる。本研究は,トラウマの長期的影響のひとつとして「生存者罪悪感」の問題を取り上げる。そして筆者の臨床および調査経験を踏まえ,生存者罪悪感の概念的枠組みとソーシャルワーク実践のあり方について提言することを目的とする。具体的には,1)生存者罪悪感の概念的枠組みを形成する実存的罪悪感と実体的罪悪感の内容と分類,2)理論,実証,臨床の各側面における先行研究の整理,3)生存者罪悪感への援助方法論,そして4)考察といった項目にまとめて報告する。とくに,援助方法論では,認知療法の枠組みに加えて,1)援助関係構築,2)アセスメント法,3)援助目標の原則,4)セルフヘルプグループの形成と活用,4)ソーシャルワーカーの自己覚知,そして5)その他の留意点といったソーシャルワーク機関における実践的示唆を示す。また,考察では今後の研究課題とソーシャルワークの役割について提言をまとめる。