著者
池田 一夫 灘岡 陽子 神谷 信行
出版者
特定非営利活動法人 化学生物総合管理学会
雑誌
化学生物総合管理 (ISSN:13499041)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.97-107, 2010 (Released:2010-05-28)
参考文献数
11

疾病動向予測システムを用いて、人口構造が自殺に与える影響について分析した。日本においては、近傍世代と比較して出生数が多い1880年代世代、昭和一桁世代、団塊世代及び団塊ジュニア世代で自殺死亡率が高いことが明らかとなった。この出生数の多い世代で自殺死亡率が高くなるという傾向は、程度の差はあれフィンランドやアメリカなどの先進各国でも観測された。相対的に出生数の多い世代の自殺死亡率が近傍世代よりも高くなることから、その世代が当該国の自殺好発年齢に達した時は、自殺者数はより大幅に増加するものと予測される。したがって、今後は、人口構造を十分考慮して自殺対策を構築していくことが重要である。