著者
関 なおみ 貞升 健志 甲斐 明美 中島 由紀子 渡瀬 博俊 上田 隆 前田 秀雄 小林 一司 石崎 泰江 広松 恭子 岩下 裕子 本 涼子 神谷 信行 栗田 雅行 田原 なるみ 長谷川 道弥 新開 敬行 林 志直
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.238-250, 2015

<b>目的</b> 2014年 8 月,代々木公園が感染地と推定されるデング熱が発生した。これに対し,東京都の各担当部署が関係自治体と協力して対策を講じた。本経験は公衆衛生活動として他自治体や関係機関に共有すべき貴重な事例であると考え,報告する。<br/><b>方法</b> 8 月26日~11月 5 日に東京都が国内感染のデング熱流行に対して実施した対策について,1)リスクコミュニケーション・情報共有,2)患者への対応,3)蚊への対策,4)検査対応,の 4 分野について経過をまとめ,得られた結果について分析を行った。患者の疫学情報については2014年第 1~44週保健所受理分を対象とした。デング熱の国内感染が疑われる患者の血清および蚊検体の検査は東京都健康安全研究センターで実施した。<br/><b>結果</b> 都庁内に設置されたデング熱専用相談電話窓口に寄せられた相談件数は3,005件であった。東京都が実施した報道発表回数は,患者届出受理数および専用相談電話実績について39回,蚊の対策について 9 回であった。<br/> 東京都における国内感染症例は108件(男性62.7%,年齢中央値31.1(3~77)歳)で,2014年 第35~44週に報告されており,第36週がピーク(35件)となっていた。推定発症日の分布は 8 月 9 日~10月 7 日,推定感染日の分布は 8 月 3 日~10月 3 日であった。このことから,7 月下旬には代々木公園内にデング熱ウイルスに感染した蚊が複数生息していた可能性が示唆された。<br/> 代々木公園で週 1 回実施された蚊の調査(全11回のべ200トラップ)で捕集された蚊の総数は1,152頭で,種の同定においてヤブカ属が73.7%(856頭)であった。ヤブカ属を対象としたデングウイルス検査では,9 月 2 日,9 月 9 日,9 月16日分について陽性となった。<br/> デング熱の国内感染が疑われる患者の血清241件について確定検査を実施し,うち78件が陽性(国内感染症例73件,輸入症例 5 件)となった。ウイルスが検出された国内感染症例の血清および蚊検体の遺伝子解析では,すべて血清型 1 型 遺伝子型I型であり,全株の相同性が埼玉県在住の初発患者から分離されたウイルスの遺伝子配列と99%以上一致し,都内で感染したデング熱患者の原因ウイルスは単一のデングウイルスであった可能性が高いと考えられた。<br/><b>結論</b> 2020年のオリンピック,パラリンピック開催を予定している東京都としては,デング熱をはじめとした蚊の媒介する輸入感染症の国内発生について対策の強化が必要と考えられた。
著者
池田 一夫 灘岡 陽子 神谷 信行
出版者
特定非営利活動法人 化学生物総合管理学会
雑誌
化学生物総合管理 (ISSN:13499041)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.97-107, 2010 (Released:2010-05-28)
参考文献数
11

疾病動向予測システムを用いて、人口構造が自殺に与える影響について分析した。日本においては、近傍世代と比較して出生数が多い1880年代世代、昭和一桁世代、団塊世代及び団塊ジュニア世代で自殺死亡率が高いことが明らかとなった。この出生数の多い世代で自殺死亡率が高くなるという傾向は、程度の差はあれフィンランドやアメリカなどの先進各国でも観測された。相対的に出生数の多い世代の自殺死亡率が近傍世代よりも高くなることから、その世代が当該国の自殺好発年齢に達した時は、自殺者数はより大幅に増加するものと予測される。したがって、今後は、人口構造を十分考慮して自殺対策を構築していくことが重要である。
著者
神谷 信行
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.740-744, 1994-11-20 (Released:2017-07-11)

氷に塩を混ぜると温度が下がることは知っているが, どうしてだろうか。道路が凍結したときに道路に撤く融雪剤としての塩化カルシウムの働きは何だろうか。どちらも氷の融解現象をうまく利用したものである。保冷剤の中身はほとんどが水で, 水, 氷の熱容量が大きなこと, 大きな融解熱が使われている。ドライアイスは本当にドライなのか。その生成の秘密は。木枯らしが吹く寒い冬の戸外は絶対零度からすれば灼熱地獄。家の外からエネルギーを取り込むことはたやすいものさ。
著者
神谷 信行 大河 原信
出版者
工業化学雑誌
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.2639-2644, 1969

メチレンブルーを主とするチアジン系色素と種々の還元剤を組合せた系を用いたアクリルアミドの光重合を行ない,重合開始能と光電池特性との関連性を調べた。還元剤として加えた第三アミンのうちでトリエタノールアミン,テトラメチルエチレンジアミンは重合開始能は大きいがトリメチルアミンは非常に小さい。ジメチルアミンのような第ニアミンも有効でモノメチルアミンのような第一アミンは効力が劣る。第三アミンの場合,Nに隣接したメチレン構造の存在が活性に寄与するものと思われる。ジメチルアミンの場合はアクリルアミドに付加して3級アミンを生成し, このアミンが有効に働いていたと推定される。メチレンブルー-還元剤系の光還元のしやすさと重合速度の大小とは必ずしも一定の関係はなく,還元剤の種類によって重合速度が著しく影響されることなどから光反応で生ずる色素ラジカルと還元剤ラジカルのうち,還元剤ラジカルが重合に大きく寄与しているものと思われる。このさいメチレンブルーラジカルは不均斉化反応などでロイコ体を生じ,これを電池のアノードに導入することにより光重合と光電池の組合せが可能であることが示された。
著者
神谷 信行 星野 謙一 太田 健一郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.2, pp.140-146, 1987-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
19
被引用文献数
2

ヘキサクロロ白金(IV)酸(塩化白金酸)の熱分解過程をTG,DTAを用いて調べ,熱分解法で作製した白金被覆チタン電極の電極性能との関連を検討した。H2PtCl6・6H20,PtCl4・5H20の結晶および水溶液はほぼ同じ温度でPtCl2,Ptへと熱分解し,それぞれの生成する温度は330,530℃ であった。これに対してブチルアルコール(n-BuOH)を溶媒として熱分解を行なうと約400℃ でPtまで還元される。H2PtCl6のn-BuOH溶液をチタン基体に塗布,熱分解する方法により,低温(300℃)でも粗度係数の大きな電極をつくることができるが,高温で焼成するほど粗度係数は小さくなった。白金とチタン基体との接合部の焼結,露出したチタン表面の封孔処理の程度は焼成温度が高いほどよく,高温処理の方が耐久性はよい。n-BuOHのほかにも種々の有機化合物を使い熱分解を調べた結果,Pt(II)に有機物が配位した状態(錯体)を経て酸化還元が進みやすくなり低温でPtoまで分解されるものと思われる。
著者
神谷 信行
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.740-744, 1994-11-20