著者
池田 直美 新藤 浩之 飯出 芳弥 浅井 弘彰 久保山 智司 松田 純夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.108-116, 2005-01-01
被引用文献数
7

民生部品・コンポーネント実証衛星「つばさ」に搭載された民生半導体部品実験装置(Commercial Semiconductor Devices: CSD)は民生用半導体デバイスの宇宙空間における放射線耐性を計測するものであり,将来民生用のデバイスを宇宙で積極的に使っていくための評価手法を確立することを目的としている.約1年半にわたる「つばさ」の軌道上運用期間中,搭載した民生用半導体デバイスについて放射線影響に関する世界的にも貴重なデータを取得し,地上における試験と併せて評価を行った.その結果,シングルイベント効果については,地上試験から得られた予測値と観測結果との間にばらつきが見られた.これは,近年の飛躍的な技術の進歩(デバイスの小型化・大容量化等)に予測モデルが対応しきれなくなりつつある現状を示唆していると考えられる.また,トータルドーズ効果については,ほとんどのデバイスで予測結果と観測結果が比較的よい一致を示したものの,DRAMについては予測よりも放射線耐性が低いという結果が得られた.これは,新たな放射線耐性劣化現象の可能性を示唆している.