著者
太田 洋一 高嶋 渉 池田 祐介 貴嶋 孝太 村田 正洋
出版者
日本トレーニング科学会
雑誌
トレーニング科学 (ISSN:13494414)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.177-195, 2011 (Released:2013-04-12)
参考文献数
13

本研究の目的は,自転車競技におけるレース分析から,速度変化,クランク回転数変化およびギア比と記録との関係を明らかし,トレーニングおよびコーチングへの示唆を得ることである.分析対象者は第10 回チャレジ・ザ・オリンピックの200mFTT, 250mTT, 500mTT, 1kmTT, 4kmTT に参加した選手計177 名である.レース中の自転車及び選手の全景をパンニング撮影し,走行速度,クランク回転数およびギア比を撮影動画から算出した.200mFTT,250mTT, 500mTT, 1kmTT においては,レース中の最高速度およびスタート区間速度が記録に強く影響する要因であった.一方,4kmTT ではレース中の速度低下量の小さい選手ほど記録が良いことが示された.また,200mFTT,500mTT, 1kmTT においては,ギア比と記録との間に有意な負の相関関係が認められた.以上のことから,200mFTT, 250mTT, 500mTT, 1kmTT においては,スタート区間速度および最高速度を高めるトレーニングが重要であり,4kmTT では高い速度を維持できる能力を高めることが重要であると示唆された.