著者
池谷 守司 岩澤 敏幸 鈴木 滋
出版者
静岡県中小家畜試験場
雑誌
静岡県中小家畜試験場研究報告 (ISSN:09146520)
巻号頁・発行日
no.16, pp.43-47, 2005-12
被引用文献数
1

ブタ未成熟卵母細胞はTCM-199中で卵核胞期の状態で保存可能であるが、本研究では保存した卵母細胞をレシピエントとした核移植を行い、活性化時間および胚盤胞までの発生率について調査した。と畜場由来ブタ卵巣から採取した未成熟卵母細胞は、20mMHepesおよび10%ウシ胎子血清添加Hanks塩TCM-199にて37℃、空気中で24~28時間保存培養後、NCSU37にて体外成熟培養を37~41時間行った(保存区)。保存培養せずに成熟培養したものを対照区とした。除核および体細胞核の移植は既報に準じ、デュロック種と金華豚の交雑種由来およびGFP遺伝子を導入した金華豚の細胞核を、ピエゾマイクロマニュピュレーターを用いて体外成熟卵子細胞質内に直接移植した。活性化処理は成熟培養開始から48(48時間区)または52時間(52時間区)後に行い、0.3%PVA添加PZMで110時間培養後の発生について観察後、借り腹豚に外科的移植を行った。桑実胚~胚盤胞への発生率は、保存区と対照区の両区で活性化時間による差は認められなかったが、DJ由来の核移植卵子では、48時間区で、保存区が、対照区より有意に高い発生率が得られた。産子は、対照区では、48時間区で1頭、保存区では、48時間区で1頭、52時間区で3頭得られた。TCM-199で一時的に保存したブタ卵母細胞をレシピエントとした核移植により、桑実~胚盤胞期肢を作出可能であることが明らかとなった。
著者
池谷 守司
出版者
静岡県中小家畜試験場
雑誌
静岡県中小家畜試験場研究報告 (ISSN:09146520)
巻号頁・発行日
no.12, pp.19-22, 2001-10

秋季と冬季に餌付けした市販の肉専用種の雌を用いて、市販アミノ酸とフィターゼを添加した低蛋白、低リン飼料(CP16%、非フィチンリン0.3%)を給与する試験区と、日本飼養標準と同等レベルの飼料(CP18%、非フィチンリン0.4%)を給与する対照区に区分し、発育体重、飼料要求率、生存率、ふん中の窒素、リンおよび乾物排泄量を比較し以下の結論を得た。 1.発育体重、飼料要求率、生存率は試験区と対照区に差は見られなかった。 2.一羽当たりの窒素排泄量は季節の影響を受けず試験区が対照区より有意に少なかった。 3.一羽当たりのリン排泄量は季節の影響を受けず試験区が対照区より有意に少なかった。 4.一羽当たりのふん排泄乾物量は試験区が対照区に比較して少ない傾向を示したが有意差は見られなかった。一方、飼料消費量に対するふん乾物排泄量の割合は対照区より有意に少なかった。 以上のことから肉用鶏の飼料中に市販アミノ酸とフィターゼを添加した低蛋白、低リン飼料を給与すると、窒素、リンの一括低減化が図られ、乾物排泄量をも低減できる傾向が示された。またアミノ酸、フィターゼの添加で飼料価格は一羽当たり4.2~8.4円上昇した。
著者
池谷 守司 前波 清隆 飯田 正
出版者
静岡県中小家畜試験場
雑誌
静岡県中小家畜試験場研究報告 (ISSN:09146520)
巻号頁・発行日
no.14, pp.23-28, 2003-10
被引用文献数
2

県内の食品関係の事業所から発生する学校給食残渣の乾燥粉末およびみかんジュース粕の乾燥粉末を鶏に給与し、生産性に及ぼす影響と機能性成分を含む鶏卵生産の可能性を検討し、以下の結果を得た。1.学校給食残渣乾燥粉末を産卵鶏の飼料中に10%添加して給与すると、産卵成績は低下するが、繊維分解酵素の併用によってある程度は成績の低下を抑制できることが判明した。また、卵黄色も濃くなる反面、卵殻強度が低下するため、カルシウム源を補給するなど卵殻質の低下防止対策が必要で、原料中に含まれる塩分のため鶏糞の水分が増加することが判明した。2.飼料中にみかんジュース粕の乾燥粉末を3%添加することで、産卵や卵殻質に影響を及ぼすことなく、卵の香りの評価も高くなり、みかんに含まれる機能性成分であるβ-クリプトキサンチンを含む鶏卵の生産が可能となった。
著者
池谷 守司 松井 繁幸
出版者
静岡県畜産技術研究所中小家畜研究センター
雑誌
静岡県畜産技術研究所中小家畜研究センター研究報告 (ISSN:18826415)
巻号頁・発行日
no.5, pp.20-23, 2012-01

ウインドウレス鶏舎において市販の白色レグホーン種400羽を用い、127日齢から462日齢の間、従来の白熱電球と一般電球形LED電球にて、15時間の連続照明を行い、鶏の生産性や経済性に及ぼす影響を検討し、以下の結果を得た。1. 産卵成績、卵質、体重、放卵時刻いずれの調査項目においてもLED区と白熱電球区に差はみられなかった。2. 電気使用量はLED区が0.3~0.4kWh/日、白熱電球区が3.5~3.6kWh/日であり、LED区の電気使用量は、白熱電球区の8~11%に低減した。その結果、電気料金を含めて算出した1羽当たり収益では、LED区が白熱電球区より約113円多くなった。以上の結果より、ウインドウレス鶏舎内における光源として白熱電球の代わりに一般電球形LED電球を用いることで、卵の生産に影響なく、電気料金が節約でき、1羽当たりの経済性も有利になることが明らかとなった。