著者
池辺 隆 本多 弘樹 弓場 敏嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.1172-1181, 2002-08-01
被引用文献数
2

従来のIPネットワークはコネクションレス・ベストエフォート型ネットワークであり,QoSの保証が難しかった.End-to-EndのQoSを保証するために,IETFではRSVPなどの帯域予約プロトコルが提案されているが,要求されたすべての帯域予約要求を保証するプロトコルは実現されていない.これに対し筆者らは,要求する帯域の大小にかかわらず確実に帯域予約要求を受理することのできる帯域予約手法の実現を目的として,RSVPを拡張した「待時式帯域予約通信方式」を提案してきた.この方式により,すべての帯域予約通信が特定の経路を通過し,その経路で予約可能な帯域以上の量の帯域予約要求が生じるような状況下では,従来のRSVPに比較して良好な結果を得られることが実証された.一方,インターネットなどの広域ネットワークでは,すべての帯域予約通信が常に特定の経路間を通過するわけではなく,待時式帯域予約通信方式では無用な待ちが発生してしまうという問題点があった.本論文ではこの問題を解決することを目的として,「帯域予約開始までの待ち時間を考慮したRSVP」を提案し,シミュレーションにより本方式がその問題点を解決していることを示す.