著者
田中 敏郎 平野 亨 河合 麻理 萩原 圭祐 有光 潤介 桑原 裕祐 嶋 良仁 緒方 篤 川瀬 一郎
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第36回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.98, 2008 (Released:2008-10-06)

アレルギーの有病率を高めている一環境要因として、抗酸化物質の摂取不足や不適切な脂質の摂取など食生活の変化が注目されている。フラボノイドは、抗酸化作用、抗アレルギー作用(肥満細胞や好塩基球からの化学伝達物質、サイトカイン分泌、CD40リガンドの発現を抑制)を有する機能性物質であり、フラボノイドの摂取がアレルギー症状の軽減や予防法となり得るのか、臨床研究を施行した。平成19~20年度にかけて、プラセボ対照二重盲検群間比較試験により、フラボノイド(酵素処理イソケルシトリン一日100mg)のスギ花粉症状に対する有効性を、症状スコア、血中サイトカイン、IgE及び抗酸化指標にて検討した。平成19年度においては、花粉飛散後より試験を開始(治療試験)、平成20年度には、花粉飛散前より試験(予防試験)をそれぞれ8週間行った。両試験において、総症状スコアはフラボノイド摂取群で抑制される傾向にあり、眼症状に関しては、統計学的有意にフラボノイド摂取群で抑制されていた。IgEやサイトカイン(TARC以外)値は試験前後で変化を認めなかったが、酸化物質(hexanoyl-lysineやoxidized LDL)はフラボノイド群で低下傾向を示した。以上の事は、適切なフラボノイドの摂取がアレルギー疾患に対する補完代替療法や予防法となる可能性を示唆する。
著者
田中 敏郎 平野 亨 比嘉 慎二 有光 潤介 河合 麻理
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-8, 2006
被引用文献数
2

この数十年間でアレルギー疾患の有病率が増加しているが,種々の環境変化の中で食習慣の変化も有病率の増加に関与しているものと推測されている.果物,野菜やお茶に含まれるフラボノイドは,好塩基球や肥満細胞からのヒスタミンや IL-4, IL-13 などのサイトカインまた CD40 リガンドの発現を抑制する活性を有する.ルテオリン,アピゲニンとフィセチンに強い活性 (IC50=2–5 μM) が認められ,また日常摂取の多いケルセチン,ケンフェロールにも中等度の抑制活性 (IC50=15–18 μM) が観察された.その作用機序として,転写因子 NFAT と AP-1 の活性化を抑制することが示された.フラボノイドをアトピー性皮膚炎のモデルマウスに投与することで,発症や症状軽減が認められる.また,疫学研究において,フラボノイドの高摂取群では喘息の発症率が低かった報告もなされており,適切なフラボノイドの摂取がアレルギー疾患に対する予防や補完代替医療となる可能性が期待される.<br>
著者
田中 敏郎 平野 亨 比嘉 慎二 有光 潤介 河合 麻理
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-8, 2006 (Released:2006-03-09)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

この数十年間でアレルギー疾患の有病率が増加しているが,種々の環境変化の中で食習慣の変化も有病率の増加に関与しているものと推測されている.果物,野菜やお茶に含まれるフラボノイドは,好塩基球や肥満細胞からのヒスタミンや IL-4, IL-13 などのサイトカインまた CD40 リガンドの発現を抑制する活性を有する.ルテオリン,アピゲニンとフィセチンに強い活性 (IC50=2–5 μM) が認められ,また日常摂取の多いケルセチン,ケンフェロールにも中等度の抑制活性 (IC50=15–18 μM) が観察された.その作用機序として,転写因子 NFAT と AP-1 の活性化を抑制することが示された.フラボノイドをアトピー性皮膚炎のモデルマウスに投与することで,発症や症状軽減が認められる.また,疫学研究において,フラボノイドの高摂取群では喘息の発症率が低かった報告もなされており,適切なフラボノイドの摂取がアレルギー疾患に対する予防や補完代替医療となる可能性が期待される.