著者
嶋 良仁 渡邉 あかね 井上 暢人 國友 栄治 丸山 哲也
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
pp.2330, (Released:2020-07-28)
参考文献数
9

【目的】「冷え」は正常な体温であるにもかかわらず,手または足が冷えている状態である.疾病の有無に関係なく,高齢者を中心に多くの人がこの「冷え」に悩まされている. 冷えを和らげる方法のひとつに使い捨てカイロで手を温めることがあるが,この方法では手が塞がり日常の作業を妨げる.そこで,カイロで上肢の別の部分を加熱することで,手の冷えを緩和できるかどうかを調査した.  【方法】インフォームド・コンセントの後,脈管異常の指摘がこれまでない冷えを自覚する30名に頸部,肘,手首の加温の検討を行った.18名はそれぞれ1週間のインターバルをあけて3ヶ所を指定された順に1週間ずつカイロで加温を行った.残りの参加者は,カイロ固定用ホルダーの影響を観るためにホルダーだけを装着した.すべての参加者は,10cmのvisual analog scaleによる手の冷え評価を連日記録させた. 同様にカイロやホルダー装着が日常作業に差し障ったかを連日評価させた.1週間の加温の治療効果を観るために,カイロまたはホルダーのみを使用した期間終了翌日に,サーモグラフィーとlaser speckle contrast analysis(LASCA)を使用して,24℃20分間の室温順応後に両手の表面温度と血流を計測した.  【結果】頸部と肘部のカイロ加温中に冷えVASの有意な低下が観察された.日常への差し障り度評価は3ヶ所間で差がなかった.手の表面温度・血流はカイロ(あるいはホルダーのみ)の使用で上昇は観察されなかった.  【結語】手を温めなくても手の冷えを改善できることと,加温部位によってその効果が異なることが判明した.この研究は,「冷え」を改善する新しい方法につながると考えられる.サーモグラフィー等の客観的評価は,外気温等の測定条件の影響が非常に大きく,評価方法の検討が必要と考えられた.
著者
嶋 良仁 渡邉 あかね 井上 暢人 國友 栄治 丸山 哲也
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.105-112, 2020-10-31 (Released:2021-02-10)
参考文献数
9

【目的】「冷え」は正常な体温であるにもかかわらず,手または足が冷えている状態である.疾病の有無に関係なく,高齢者を中心に多くの人がこの「冷え」に悩まされている. 冷えを和らげる方法のひとつに使い捨てカイロで手を温めることがあるが,この方法では手が塞がり日常の作業を妨げる.そこで,カイロで上肢の別の部分を加熱することで,手の冷えを緩和できるかどうかを調査した.  【方法】インフォームド・コンセントの後,脈管異常の指摘がこれまでない冷えを自覚する30名に頸部,肘,手首の加温の検討を行った.18名はそれぞれ1週間のインターバルをあけて3ヶ所を指定された順に1週間ずつカイロで加温を行った.残りの参加者は,カイロ固定用ホルダーの影響を観るためにホルダーだけを装着した.すべての参加者は,10cmのvisual analog scaleによる手の冷え評価を連日記録させた. 同様にカイロやホルダー装着が日常作業に差し障ったかを連日評価させた.1週間の加温の治療効果を観るために,カイロまたはホルダーのみを使用した期間終了翌日に,サーモグラフィーとlaser speckle contrast analysis(LASCA)を使用して,24℃20分間の室温順応後に両手の表面温度と血流を計測した.  【結果】頸部と肘部のカイロ加温中に冷えVASの有意な低下が観察された.日常への差し障り度評価は3ヶ所間で差がなかった.手の表面温度・血流はカイロ(あるいはホルダーのみ)の使用で上昇は観察されなかった.  【結語】手を温めなくても手の冷えを改善できることと,加温部位によってその効果が異なることが判明した.この研究は,「冷え」を改善する新しい方法につながると考えられる.サーモグラフィー等の客観的評価は,外気温等の測定条件の影響が非常に大きく,評価方法の検討が必要と考えられた.
著者
田中 敏郎 平野 亨 河合 麻理 萩原 圭祐 有光 潤介 桑原 裕祐 嶋 良仁 緒方 篤 川瀬 一郎
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第36回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.98, 2008 (Released:2008-10-06)

アレルギーの有病率を高めている一環境要因として、抗酸化物質の摂取不足や不適切な脂質の摂取など食生活の変化が注目されている。フラボノイドは、抗酸化作用、抗アレルギー作用(肥満細胞や好塩基球からの化学伝達物質、サイトカイン分泌、CD40リガンドの発現を抑制)を有する機能性物質であり、フラボノイドの摂取がアレルギー症状の軽減や予防法となり得るのか、臨床研究を施行した。平成19~20年度にかけて、プラセボ対照二重盲検群間比較試験により、フラボノイド(酵素処理イソケルシトリン一日100mg)のスギ花粉症状に対する有効性を、症状スコア、血中サイトカイン、IgE及び抗酸化指標にて検討した。平成19年度においては、花粉飛散後より試験を開始(治療試験)、平成20年度には、花粉飛散前より試験(予防試験)をそれぞれ8週間行った。両試験において、総症状スコアはフラボノイド摂取群で抑制される傾向にあり、眼症状に関しては、統計学的有意にフラボノイド摂取群で抑制されていた。IgEやサイトカイン(TARC以外)値は試験前後で変化を認めなかったが、酸化物質(hexanoyl-lysineやoxidized LDL)はフラボノイド群で低下傾向を示した。以上の事は、適切なフラボノイドの摂取がアレルギー疾患に対する補完代替療法や予防法となる可能性を示唆する。
著者
田中 敏郎 嶋 良仁 仲 哲治
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

アレルギー疾患の有病率が増加している現状において、その増加要因の解明と、発症を予防する手段の開発は急務の課題である。本研究においては、遺伝子多型がどのように喘息発症に関与するのか、また抗アレルギー作用を有するフラボノイドの適切な摂取によるアレルギー疾患に対する補完代替療法や予防法の確立を目指して、新たなフラボノイドの作用、作用機序に関して検討を加えた。IL-18の遺伝子多型IL-18-105A/Cは、アトピー型、非アトピー型喘息の発症に関与する多型であることが示された。IL-18-105A/Cは、IL-18遺伝子発現に関与するプロモーター領域のIL-18- -137G/C多型と連鎖不均衡にあり、これらの多型が末梢血単核球からのIL-18産生能に影響するのか検討したところ、遺伝子型がIL-18-105A/AやIL-18- -137G/Gである場合、それぞれ、IL-18-105A/C、IL-18- -137G/Cに比較して、単核球からのIL-18産生が上昇していた。このことは、IL-18が過剰産生されやすい遺伝子背景が、喘息発症のリスクとなることを示唆する。フィセチン、ルテオリン、アピゲニンなどのフラボノイドは、好塩基球からのIL-4やIL-13の産生を抑制するのみならず、CD40リガンドの発現も抑制する。したがって、好塩基球において、B細胞のIgE産生細胞への分化に必須なサイトカイン(IL-4、IL-13)とCD40リガンドの発現を抑制することより、フラボノイドは間接的なIgE産生抑制物質であることが示された。その作用機序として、転写因子のAP-1の活性化を抑制することが明らかとなった。また、フラボノイドのin vitroでのIL-4産生抑制活性と経口投与における体内への吸収性を考慮して、高活性、高吸収性のフラボノイドを合成した。