- 著者
-
木下 芳一
足立 経一
河村 朗
- 出版者
- 一般財団法人 日本消化器病学会
- 雑誌
- 日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
- 巻号頁・発行日
- vol.97, no.10, pp.1243-1251, 2000-10-05 (Released:2008-02-26)
- 参考文献数
- 37
逆流性食道炎の分類と治療法について概説した.逆流性食道炎は,症状によってその診断が疑われ,内視鏡検査によって確定診断と重症度の分類が行われていることが多い疾患であり,多くの内視鏡分類が用いられてきた.これらの中で最近では重症度を判定し,予後を推定し,治療法の選択に有用な情報を提供しうるLos Angeles分類やその改良型が多く用いられている.逆流性食道炎の治療法には薬物療法が主力となるが,その中でも酸分泌抑制剤が主に用いられている.H2RAは夜間の酸分泌を強力に抑制するが,食後の酸分泌抑制力は弱く,PPIは日中の酸分泌の抑制は強力であるが,夜間はH2RAに比べてその作用は弱い.特にH. pylori感染陰性者ではPPIの夜間胃内pH上昇作用は,あまり強力ではない.逆流性食道炎のうち軽症のものは主に日中の食後に胃食道逆流がおこるが,gradeが高くなると日中に加えて夜間にも逆流が高頻度におこるようになる.また,gradeの高い逆流性食道炎は,H. pylori陰性者が多いことが明らかとなっているため,PPIのみでは夜間の胃内pHの低下が持続し,夜間酸逆流のため難治性となり,H2RAの追加投与が必要となる場合もある.