- 著者
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沼田 稔
- 出版者
- 一般社団法人 数学教育学会
- 雑誌
- 数学教育学会誌 (ISSN:13497332)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.3-4, pp.13-15, 1997 (Released:2020-07-06)
代数的な式をグラフを使って解くという発想はどこから生まれているか。代数学の発展の中で,空間を解析するのに強力な方法を与えるために座標は導人された。グラフで方程式の解を求めると言うのはデカルトの精神に反する。また,この問題は具象と抽象についての本質的な問題を含んでいる。方程式に対応するグラフを描くのは方程式の一つの表現,描かれたグラフは具象であって,抽象的な方程式そのものではない。グラフをいくら読んでも方程式の解は得られないと言うことを意識化しなければならない。この問題は,小学校の算数,中学校の数学の間の数学教育の連続性と質の変化,さらには現代数学の方向とも係わっており,こうした視点から問題点を整理した。