著者
沼田 稔
出版者
一般社団法人 数学教育学会
雑誌
数学教育学会誌 (ISSN:13497332)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3-4, pp.13-15, 1997 (Released:2020-07-06)

代数的な式をグラフを使って解くという発想はどこから生まれているか。代数学の発展の中で,空間を解析するのに強力な方法を与えるために座標は導人された。グラフで方程式の解を求めると言うのはデカルトの精神に反する。また,この問題は具象と抽象についての本質的な問題を含んでいる。方程式に対応するグラフを描くのは方程式の一つの表現,描かれたグラフは具象であって,抽象的な方程式そのものではない。グラフをいくら読んでも方程式の解は得られないと言うことを意識化しなければならない。この問題は,小学校の算数,中学校の数学の間の数学教育の連続性と質の変化,さらには現代数学の方向とも係わっており,こうした視点から問題点を整理した。
著者
佐伯 卓也 小宮山 晴夫 中嶋 文雄 沼田 稔 佐々木 盛男
出版者
岩手大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

研究目標は、本科学研究費補助金(一般研究B)研究成果報告書にも記したが、教育現場でのパソコンのいかなる設置状態(教室に1セットから生徒1人につき1セットのランシステムまで)でも実現できて、伝統的な授業の教師の役割をあまり変えずに教師の個性が十分発揮できてそれでいて教室のハプニングにも臨機応変な対応ができるスタイルのパソコン利用の授業、非CAI的授業のソフト開発、非CAI的授業そのものの研究、あわせて、学生や附属学校の教師も参加しての教師教育、とくに学生の教師教育にあった。このためのパソコンソフトは、この期間に開発したのが23点、それ以前に代表者が開発したのが19点あるので、合わせて42点になる。このうち、29点は実際に附属中学校で、1年、2年の生徒を対象にして授業実践を経ている。教師教育については、非CAI的授業のソフトは、内容にもよるが、1単位時間のソフト開発時間が5時間ぐらいのものもあり、開発しやすい。このソフト作成技術とそれを利用した授業実践技術のマニアルにまとめた。さらに小学校算数教育のためのVTR教材を作成した。また、大学数学そのものの理解を助けるためのソフト作成も試み、今後の教師教育の課題の糸口をつかんだ。研究期間に開発したソフトの一部を、東北大学理学部、山形大学教育学部、八戸工業大学に提供、さらに現場関係では、岩手県総合教育センタ-にも提供した。また、ソフトや新しい知見は日本科学教育学会、日本教育工学会、日本教育情報学会、日数教数学教育論文発表会等で公表した。期間中の発表論文数は25本(報告書に記載)、以前の論文を合わせると関係論文数は57本あり、合計82本である。