著者
福田 芳雄 原田 篤也 泉 美治
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工學雑誌 (ISSN:03675963)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.393-397, 1973-06-25

土壌中よりDL-α-ハイドロキシニトリルを唯一の窒素源として生育する酵母を分離し, まずこの菌株GN405の菌学的性質をLodderの方法によってしらべ, Torulopsis candidaの1菌株と同定した.この菌株は種々なニトリル化合物を唯一の炭素源として利用できなかったが, アセトニトリル, プロピオニトリル, ブチロニトリル, DL-α-ハイドロキシイソバレロニトリル, DL-α-ハイドロキシイソカプロニトリルを唯一の窒素源として利用できた.DL-α-ハイドロキシイソバレロニトリルを窒素源として生育した培地からの菌体を用いて, ハイドロキシニトリル化合物に作用させ, えた生産物の元素分析, 赤外吸収分析, 施光度および融点の測定を行なった.その結果DL-α-ハイドロキシイソバレロニトリルとDL-α-ハイドロキシイソカプロニトリルよりそれぞれえられたハイドロキシ酸はL-α-ハイドロキシイソバレリアン酸とL-α-ハイドロキシイソカプロン酸であることがわかった.この反応に関与する酵素は1種のニトリラーゼと考えられる.酵素は基質に対して誘導的に生成される.アミノニトリル化合物には作用しない.