著者
守田 智 吉村 仁 伊東 啓 泰中 啓一
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究課題では社会に遍在するネットワーク上での拡散現象に着目している.この1年で,特に知られるようにもなった感染性拡散モデルに対する基本再生産数およびそれを拡張したタイプ別再生産数の定式化を行った.驚くべきことに従来から知られていた公式より正確なものが得られた.実在のネットワークではリンクのつながり具合に相関がみられるが,この相関を考慮した場合についても定式化に成功した.また,上記の研究をリアルな性感染症拡散モデルにも応用している.
著者
田中 裕美 渥美 良太 吉村 仁 泰中 啓一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.377-378, 2009-03-10
参考文献数
3

米国の中西部から南部:東部にかけて存在する周期ゼミは,13及び17年の素数年の周期で大発生することがよく知られている.その理由として,同時発生による交雑が素数でない周期の絶滅を引き起こしたという仮説がある.近年,私たちは,交雑によって素数周期が選択される事を整数数値シミュレーションモデルによって実証した.今回,新たに素数周期が選択される為の重要な要因として,ある限界個体数以下に個体数が減少した場合絶滅が促進されるという効果が必要であるということがわかった.本報告では数値シミュレーションモデルを用いてこれを検証する.
著者
泰中 啓一
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

20世紀の末には、計算機科学の手法が生物学において重要な役割を果たすようになってきた。本研究代表者と九州大学の松田博嗣氏は、1980年代(同時期)に格子ロトカボルテラ法という方法をそれぞれ独自に開発し、生態学や生物進化に適用してきた。当時としてはセルオートマトンが空間パターン解析の主流であったので、乱数を大量に使ったこの新しい方法は珍しいものであった。大規模計算であるため、日本の2つの研究室以外では、ほとんど行なわれていなかった。しかし今世紀に入り、コンピュータの発達と伴にこの格子ロトカボルテラ法は世界中で使われるようになってきた。我々はこの手法を通じて、集団レベルでのリダンダンシーの重要性を見出した。数理的な手法を用いて生物進化および生態学の最適化問題や適応問題を研究してきた。そのため、主として格子上のシミュレーションによって進化と絶滅を研究してきた。研究代表者は、「格子ロトカボルテラ模型」という格子上の確率模型によって生物の個体群動態を研究してきた。それにより、多くの新しい知見を得た。とくに長期的応答の研究である:生態系の短期的応答は比較的簡単に予測できることはよく知られているが、長期的応答は予測が不可能となることが分った。Eco Mod.やEPLのレフェリーから"great importance","beautiful model"などと評価された。また新聞でもその内容が報道され、また成果は、新書や単行本として出版された。