著者
田中 裕美子
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.216-221, 2003-07-20
参考文献数
20
被引用文献数
3 1

英語圏の特異的言語発達障害 (SLI) は文法形態素獲得の遅れを主症状とする文法障害である.5歳での発現率は7.4%で, 言語障害は青年期まで長期化する.SLI研究法は, 理論をデータから検証するトップダウン方式が中心であり, 異言語間比較が理論追求に寄与するところが大きい.本研究では, 幼稚園でのスクリーニングにより同定したSLI群, 健常群, 知的障害児群とで, 語順や名詞数という言語学的要因を変化させた文理解成績を比較した.その結果, SLI群では健常の言語年齢比較群や知的障害群とは異なる反応パタンが見られ, 言語情報処理能力の欠陥説を支持した.さらに, 臨床家にSLIと診断された3症例に文理解や音韻記憶課題を実施した結果, SLIの評価・診断法としての有用性が示唆された.言語発達の遅れを「ことばを話すか」という現象のみで捉えるのでなく, 「何をどのように話すか」といった言語学的視点などを含め多面的で掘り下げ的な評価法の確立が今後期待される.
著者
前田 真治 山北 秀香 佐々木 麗 田中 裕美子 後出 秀聡 木村 広 井上 市郎
出版者
The Japanese Society of Balneology, Climatology and Physical Medicine
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.187-194, 1998-08-01
参考文献数
13
被引用文献数
1

慢性関節リウマチ (RA) 患者を対象に組織循環改善作用と新陳代謝亢進による疼痛の軽減を目的に90%以上になる高濃度炭酸ガス浴装置を用い効果を調べた。<br>気体としての炭酸ガス浴は更衣動作の障害されているRA患者にとって, 衣服のまま入浴できる画期的な入浴法である。血圧・脈拍の大きな変化なく, 循環機能の影響の少ない入浴法と考えられた。表面皮膚温も前値に比べ入浴後期に1℃以上の上昇がみられ, 局所の血液循環の改善が示唆され, 老廃物・疼痛物質などの除去・新陳代謝改善の効果が期待できると考えられた。ADL得点 (平均67→75/96), Visual Analogue Pain Scale (5.3→2.7/10), Face Scale (9.4→5.4/20), AIMS変法 (身体的要素28.5→30.1, 社会的25.2→27.3, 精神的26.2→29.9/36) と入浴前に比べ有意に改善しており, 高濃度炭酸ガス浴がRA患者のADL・QOLの改善に効果があると思われた。
著者
田中 裕美子
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.16-21, 2021 (Released:2021-07-31)
参考文献数
13

原因が見当たらないのにことばの遅れを呈する2歳児をレイトトーカー(LT:Late Talker)と呼ぶが,英語圏ではその約15%が4・5歳で特異的言語発達障害(SLI: Specific Language Impairment)に至るという。SLI児は文レベルで話していても深刻な言語の問題を呈し,就学後学習の躓きにつながり,それが長期に続くことが報告されている。つまり,早期のことばの遅れは言語発達障害に至る大きなリスク要因であり,子どもの言語の問題はことばを話すかどうかでは捉えられない。そこで,言語の問題をコミュニケーションではなく,学習言語の視点から捉えた評価や指導法を提言し,評価法の一つとして,教えた効果から言語習得力を捉えるダイナミックアセスメントを,LTの経過観察の中で文法や言語習得力を育む親の言葉かけや関わり指導法の一つとして日本版Toy talk(トイトーク)を紹介する。
著者
田中 裕美子
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.216-221, 2003-07-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

英語圏の特異的言語発達障害 (SLI) は文法形態素獲得の遅れを主症状とする文法障害である.5歳での発現率は7.4%で, 言語障害は青年期まで長期化する.SLI研究法は, 理論をデータから検証するトップダウン方式が中心であり, 異言語間比較が理論追求に寄与するところが大きい.本研究では, 幼稚園でのスクリーニングにより同定したSLI群, 健常群, 知的障害児群とで, 語順や名詞数という言語学的要因を変化させた文理解成績を比較した.その結果, SLI群では健常の言語年齢比較群や知的障害群とは異なる反応パタンが見られ, 言語情報処理能力の欠陥説を支持した.さらに, 臨床家にSLIと診断された3症例に文理解や音韻記憶課題を実施した結果, SLIの評価・診断法としての有用性が示唆された.言語発達の遅れを「ことばを話すか」という現象のみで捉えるのでなく, 「何をどのように話すか」といった言語学的視点などを含め多面的で掘り下げ的な評価法の確立が今後期待される.
著者
MENN Lise 田中 裕美子 荻野 恵
出版者
日本コミュニケーション障害学会
雑誌
コミュニケーション障害学 (ISSN:13478451)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.127-138, 2005

言語障害をもつ人々の言語産生能力を,ナラティブで評価するのは難しい.しかし,ナラティブ能力の測定法は,言語障害が一次的なものか認知障害と合併しているものかにかかわらず,また発達性(SLI,精神遅滞,自閉症)であっても,後天性(流暢・非流暢性失語,認知症,脳外傷等)であっても,コミュニケーション能力の全体像を把握する過程において欠かせないものである.今回の発話サンプルには,語彙や統語能力の問題を含む幅広い言語の問題がみられる.また,いくつかの物語の内容を混ぜ合わせたり,必要な情報を提供しようとしないなど,認知/情動障害から二次的に生じていると思われる問題もみられる.現在使われている一面的な測定法は,このような問題を把握するためには十分でない.それぞれの言語において,研究者は信頼性・安定性・感度・妥当性のある多面的な測定法を開発することが必要である.
著者
田中 裕美 渥美 良太 吉村 仁 泰中 啓一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.377-378, 2009-03-10
参考文献数
3

米国の中西部から南部:東部にかけて存在する周期ゼミは,13及び17年の素数年の周期で大発生することがよく知られている.その理由として,同時発生による交雑が素数でない周期の絶滅を引き起こしたという仮説がある.近年,私たちは,交雑によって素数周期が選択される事を整数数値シミュレーションモデルによって実証した.今回,新たに素数周期が選択される為の重要な要因として,ある限界個体数以下に個体数が減少した場合絶滅が促進されるという効果が必要であるということがわかった.本報告では数値シミュレーションモデルを用いてこれを検証する.
著者
板倉 修司 奥田 純子 宇田川 加苗 田中 裕美 榎 章郎
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.107-115, 2006-10-14
参考文献数
36

イエシロアリとヤマトシロアリのニンフと職蟻に含まれる灰分,食物繊維,グリコーゲン,脂質,窒素,還元糖,トレハロースおよび水分を定量した.粗タンパク質抽出物のアミノ酸組成,エーテル抽出物に含まれる脂質の脂肪酸組成を分析した.シロアリ乾燥質量に対する総脂質含有率とタンパク質含有率(キチン由来の窒素を除いた推定値)は,イエシロアリのニンフで各々64.33%,15.50%,職蟻で46.46%,29.80%,ヤマトシロアリのニンフで69.08%,9.83%,職蟻で61.15%,20.98%であった.これら2種類のシロアリには,リノール酸(必須脂肪酸),オレイン酸,パルミチン酸およびステアリン酸,さらに必須アミノ酸(ヒスチジン,イソロイシン,ロイシン,メテオニン,フェニルアラニン,バリンなど)および非必須アミノ酸(アラニン,システイン,グルタミン酸,グリシン,プロリン,チロシンなど)が含有されていた.
著者
田中 裕美子 前川 喜久雄 石田 宏代 入山 満恵子 柴 玲子 兵頭 昭和
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

H21年度は、これまでに作成した発話誘発課題を用いて文法習得を評価するための具体的な指標を構築し、さらに、臨床像を掘り下げるために新しい発話誘発法を作成し、検討を試みた。1.ナラティブのミクロ構造指標の構築と躓きの判定成人(10名)、学童(10名)、幼児(10名)の「カエルの話Frog,where are you?」(Mayer,1969)の再生発話の分析に用いてきた構造指標T-unitに加え、従属節などのComplexity指標や、語の総数や異なる語数などのproductivity指標を加えるとともに、5人の分析者が95%の一致を認めるためのトレーニング作業を行った上で、ナラティブ再生発話を分析した。その結果、学童期から発話に関係節や従属説などの複雑指標が増すこと、また、productivityは幼児<学童<成人となり、文法発達の躓きを判定するための指標が得られた。2.受動態・使役態文を誘発する課題を用いた文法の問題特性の解明臨床家が印象として持つ「文法の問題」とは具体的にどういうことかを検討するために、斎藤氏の構文検査(試案)を応用し、複数の言語発達障害児から受動態・使役態文を誘発した。その結果、学齢期になっても受動態・使役態文を構成する際に、動詞の活用に音韻の誤りもしくは不確かさが認められる場合、文法の問題に音韻が介在する可能性が示唆された。また、構造化された誘発課題では受動態・使役態文が言えるが、ナラテイィブの中ではできないなど、文脈によるパフォーマンスの違いが明らかになり、日常の場面で使用できるかどうかを確認するための誘発方法を作成することが今後の課題である。最後に、人物の特性や状況を加味した受動態・使役態の理解課題を考案し、健常児・障害児への実施を行い、表出できないときの背景を探り始めた。