著者
津田 悦子 Tsuda Etsuko ツダ エツコ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科教育学系
雑誌
大阪大学教育学年報 (ISSN:13419595)
巻号頁・発行日
no.5, pp.29-44, 2000-03

西洋の近代的子ども観の基本枠組みを明るみに出したアリエス著『〈子供〉の誕生』の「子ども」はいかなる年齢集団を対象としているのか。これについてのこれまでの見解は一致せず矛盾の様相さえ見せている。「子ども」年齢の追究は、発達段階理論の発展に伴って未成年者全体と単純に想定するだけでは不都合な場合もあり、今後その必要性は増していくように思われる。そこで、アリエス論における「子ども」年齢を探る手段として、「新生児期」という最初で最短の時期を取り上げ、「新生児」への言及を拾い出し、考察を加えながらその位置づけを模索する。その一連の作業から見出されたのは、「子ども期」の歴史が「新生児」に関わる事象とそうでない事象に二分されていることであった。つまり、近代以前の「子ども」が軽率に扱われた証拠となる事象は「新生児期」と関わりを持ち、反対に、近代以降の「子ども」の記述内容においてはなぜか人生初期の「子ども」への焦点がぼやけるのである。一括りにして述べられる「子ども観」の中で、最も「大人」にとって異質な「子ども」である「新生児」は、過去の親子関係の劣悪さを強調する役割を担わされたのだろうか。これから必要とされる「子ども観」にとって、重要な基礎となる歴史把握に疑問を提起する。
著者
星野 真介 谷口 由紀 津田 悦子 北野 正尚 山田 修 古川 央樹 宗村 純平 中川 雅生 西島 節子
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.584-590, 2015 (Released:2016-05-16)
参考文献数
11

二次孔心房中隔欠損 (atrial septal defect ; ASD) に合併した僧帽弁逆流 (MR) が急激に進行し, 心不全をきたした症例を経験した. 症例は10歳女児. 5歳時に心雑音を指摘され, 近医を受診してASD, 軽度のMRと診断された. ASDに対してカテーテル治療を希望し, 至適体重まで待機中に, 経済的理由により病院を受診しなかった. 10歳で, 全身倦怠感, 起坐呼吸が出現し, 胸部X線写真では, 心胸郭比が80%と心拡大を認め, 心臓カテーテル検査では, 肺体血流比は5.1で, 重度のMRと肺高血圧を認めた. 外科的にASD閉鎖術および僧帽弁人工弁置換術を施行した. ASD症例で稀ながらMRが進行する場合があり注意が必要である.