著者
津留 竜馬
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.55-66, 1999-05-15 (Released:2009-05-29)

ここまで見てきたようなクリプキやグプタたちの理論をはじめとして,嘘つきパラドクスの解決を目指した真理の理論は多数提出されてきている.しかもそのうちのいくつかは,パラドクスの解決だけにとどまらない幅広い応用領域を持つなどして,非常に実り豊かな成果を挙げているように思われる.このような成果はもっと強調されてよい.しかし我々は,これらの高度にテクニカルな結果を眺めながらも,元々の素朴な非形式的レベルでのパラドクスのことを忘れてはならない.前節で見たように,これら真理の理論が我々が直観的に感じているような嘘つきパラドクスを解決しているとは,到底言えないからである.嘘つきパラドクスを真に解決してくれるような真理の理論は,いまだ現れていないのである.
著者
津留 竜馬
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.15-21, 2000-12-25 (Released:2009-07-23)
参考文献数
5

クリスピン・ライトらが提唱する「フレーゲ的プラトニズム」の立場は, 数などの抽象的対象の存在を擁護する果敢な試みであるが, またそれゆえに, 多くの批判的議論を呼ぶものでもあった.様々な批判の中で特に重要なものとして, ダメットに拠る議論 (Dummett [1991]) を挙げることができるだろう.また, ライトとダメットとの間には, その後この問題を巡っての議論の応酬もあった (Wright [1998a], Dummett [1998], Wright [1998b]).この小論では, 「フレーゲ的プラトニズム」の是非を巡る彼らの間の論争を検討したい.
著者
津留 竜馬
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.163-175, 2000-11-25 (Released:2009-05-29)
参考文献数
7

Chapter 17 of Michael Dummett's Frege: Philosophy of Mathematics begins with the question: how did the serpent of inconsistency enter Frege's paradise? So the aim of that chapter is to explicate the primary reason for inconsistency of Frege's system (i.e. the origin of Russel's paradox). But what Dummett does in that chapter is to analyze Frege's consistency proof and to explain why his proof fails. Since it is possible that a consistency proof for a system fails but the system is still consistent, Dummett's account of inconsistency seems to be inadequate. Does Dummett succeed in explicating the origin of inconsistency of Frege's system through the analysis of his consistency proof? It is this question that this paper deals with. I shall argue that Dummett's account is inadequate and suggest an alternative explanation of inconsistency of Frege's system.
著者
津留 竜馬
出版者
東京都立大学哲学会
雑誌
哲学誌 (ISSN:02895056)
巻号頁・発行日
no.42, pp.71-88, 2000-03-20