- 著者
-
浅井 学
- 出版者
- 一般社団法人 日本統計学会
- 雑誌
- 日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.2, pp.215-238, 2019-03-29 (Released:2019-10-07)
- 参考文献数
- 52
Realized Stochastic Volatility (RSV)モデルは,金融資産のボラティリティ・モデルの推定において,収益率と実現ボラティリティの両方の情報を使うため,SVモデルに比べて効率的な推定を行うことができる.RSVモデルの推定には,ベイジアン・マルコフ連鎖モンテカルロ法やモンテカルロ尤度によるシミュレーション最尤法を用いる方法が主流であるが,本研究ではカルマン・フィルターによる疑似最尤法について検討する.特に,単純なRSVモデルについて,効率性の比較を試みる.またボラティリティのモデル化において重要な性質である,非対称性・長期記憶・裾の厚い分布という3点について,RSVモデルの拡張を紹介し,カルマン・フィルターによる推定方法を説明する.最後に,アメリカ・イギリス・日本の株価指数のデータについて,さまざまなRSVモデルを用いて実証分析を行った結果を報告する.