著者
浅利 正義
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.185-191, 2016 (Released:2016-09-08)
参考文献数
23

近年,ナシ黒星病の発生は増加傾向を示しているが,リンゴ黒星病の発生は緩やかに減少している.このため,両病菌の分生子の発芽および菌糸の生存に対する高温の影響を調査した.その結果,分生子の発芽は35°Cおよび40°Cにおいてリンゴ黒星病菌の方がナシ黒星病菌よりも強く阻害され,菌糸の生存は40°Cにおいてリンゴ黒星病菌が全て死滅したのに対してナシ黒星病菌では多くの個体が生存した.以上のことから,リンゴ黒星病菌の方がナシ黒星病菌より高温耐性が低いことが明らかとなり,このことが近年の温暖化に伴うリンゴ黒星病の発生減少の要因の一つとなっていることが示唆された.
著者
浅利 正義
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.161-167, 2009 (Released:2009-04-25)
参考文献数
12

ハイブッシュブルーベリーの効率的な大量増殖技術を開発するため,2~3 cmに短く切断した(短切)1年生の休眠枝(挿し穂)を用いた増殖法を検討した.短切挿し穂の腋芽の発芽適温は20℃前後であり,‘ブルーレイ’では発芽が暗黒条件で不良であった.照明条件では,‘ブルーレイ’と‘ディキシー’ともに高い発芽枝率を示した.短切挿し穂の腋芽の発芽に対するベンジルアデニン300 ppmと600 ppmの噴霧処理の効果は判然としなかった.照明条件で発芽処理した後に照明条件および暗黒条件で新梢が1 cmに伸長した短切挿し穂は,ピートモスと鹿沼土の等量混合培土に新梢基部が露出しないように挿し木することでいずれも90%前後が発根した.発根部位は新梢基部がほとんどであった.本法は慣行法と比較して苗の生育は劣るが,3倍量以上の挿し木苗を獲得可能である.