著者
田山 典男 浅利 英吉
出版者
岩手大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

本研究は, 筆者の提唱する『コンピュータ人体解剖技術CAT』を実現すべく, 人体のような3次元ディジタル物体像(3D像)をコンピュータ上に再構成し, 領域分割等の3次元処理を施し, 人体解剖のように3D像を実時間で任意に切出して立体表示するという技術の開発研究を行うものである.1.3D像の再構成実験:高分解能のX線撮影装置を一時借用してX線射影データの収集を行なった. それを特殊なサンプリング方法でコンピュータに取込み, 座標系統の変換処理を行ない, 3D像の再構成を試みた. 種々実験の結果, 対象物体が均質なボクセルから構成されている場合には, 理論に近づくことがわかった. そこで対象物体の周囲を細かなボクセルで扱えるように理論の修正が必要である.2.3次元並列処理コンピュータPIPE-IIのハードウェア増設:3方向からの平面状の並列アクセス機能と, ブロック組立てによるメモリ容量増設機能をもった4次元画像メモリQMUの方式設計を行ない, 64メモリモジュールからなるQMUを製作し, 所期の動作を確認した. 更に, アドレスレジスタを3D像処理向きに自動カウントするように改造した.3.PIPE-IIの図式マイクロプログラム作成ツールの拡張と命令開発:PIPE-IIは, 3次元データの並列処理をする特有のハードウェア機構をもっており, 対角型の語長が長いマイクロプログラムで制御される. 今回, 64ビットのマイクロフィールドを追加増設したので, そのマイクロプログラム作成ツールFADETの機能を拡張した. これで10個の専用命令を作成した.4.3D像の表示:従来のZバッファアルゴリズムを3次元生データの探査用に拡張する方法により, プログラムを作成し立体画像の生成を試みた. 一応の画像が得られたが, リアリティに乏しい. 高速化の面からも, もう少し工夫が必要と思われる.