- 著者
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宮崎 育子
菊岡 亮
磯岡 奈未
中山 恵利香
進 浩太郎
山本 大地
Kyle E. QUIN
船越 英丸
禅正 和真
浅沼 幹人
- 出版者
- 日本毒性学会
- 雑誌
- 日本毒性学会学術年会 第45回日本毒性学会学術年会
- 巻号頁・発行日
- pp.P-150, 2018 (Released:2018-08-10)
エポキシ樹脂Bisphenol A diglycidyl ether(BADGE)は缶詰,飲料缶の内面コーティング剤として用いられているが,微量の食品中への移行ならびにエストロゲン活性が報告されている.今回,母体へのBADGE曝露による新生仔脳への影響の有無を明らかにするために,欧州食品安全機構が発がん性がなく安全としたBADGE一日許容摂取量(TDI 0.15 mg/kg/日)およびその10倍量を,マウスの妊娠全期から授乳期にわたり固形食餌に混ぜて投与し,新生仔マウス(1日齢)の大脳皮質層構造および神経分化への影響について検討した.妊娠・授乳期の母体へのTDIの10倍用量のBADGE曝露により,1日齢新生仔マウス脳の頭頂皮質において第2/3層の著明な細胞数低下がみられ,また,錐体細胞のマーカーであるCtip2陽性シグナルが対照群と比べより第5層に限局していた.さらに,ラット初代培養大脳皮質神経細胞へのBADGE(1-100 pM)の2日間曝露により,濃度依存的な神経突起の著明な伸長が認められた.以上の結果より,妊娠・授乳期における高濃度のBADGEへの曝露は,早期の神経分化をもたらす可能性が示唆された.