著者
美和 千尋 島崎 博也 出口 晃 森 康則 前田 一範 水谷 真康 浜口 均
出版者
The Japanese Society of Balneology, Climatology and Physical Medicine
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.78-85, 2019-05-31 (Released:2019-06-19)
参考文献数
23

人は環境の温度変化に対して,身体の外部や内部から熱の出し入れをして調節する.身体の内部からの熱の出し入れの一つに温度の異なる水を飲むことが挙げられる.しかし,温度の異なる飲水に伴う人体作用の変化の詳細は明らかになっていない.そこで,この研究では,異なる温度の水を飲むことで,どのような体温応答があるのかを明らかにする.健常な若年男性13名(平均年齢21.3±0.8歳)を対象とし,3℃,室温,60℃Cの水を飲んだときと水を飲まないときの体温応答について検討した.測定項目は鼓膜温,皮膚血流量,発汗量,平均皮膚温である.鼓膜温はサーミスターにより,皮膚血流量はレーザードップラー血流計で,発汗量はカプセル換気法で測定した.平均皮膚温は,身体の7点をサーミスターで測定し,算出した.鼓膜温は水温3℃と60℃の飲水時に他の条件と比べ有意に変化した.皮膚血流量は水温60℃と3℃の間で,発汗量は水温60℃と他の条件の間で,平均皮膚温は水温3°Cと他の条件の間で有意差が認められた.飲水初期の変化は,飲水時の温度による温度受容器の反応で起こり,その後は飲んだ水の温度が持つ熱エネルギーが関与していると考えられた.
著者
鈴村 恵理 出口 晃 島崎 博也 前田 一範 浜口 均 川村 直人 川村 憲市 川村 陽一
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.87-94, 2012-02-29 (Released:2013-10-18)
参考文献数
7

背景:鼻閉はわずらわしい症状である。今回、鼻腔通気度計を利用して温泉入浴(41°Cから42°C)の鼻閉に対する効果を調べた。方法:10人の健常成人ボランティア(男性 10名、平均年齢 27.8±4.4才)に 10分間の温泉入浴をさせた。鼻腔通気度計(HI-801)を利用し、入浴前と後に鼻腔抵抗値を測定した。鼻腔通気度検査方法はアクティブ・アンテリオール法で行った。両側鼻腔抵抗は、左右片側抵抗値よりオームの法則の計算式(1/T=1/R+1/L、T:両側抵抗、R:右側抵抗、L;左側抵抗)に従って算出する。評価には ΔP100Pa 点の抵抗値を適用した。結果:左右別に測定した鼻腔抵抗値は、入浴前鼻腔抵抗値が0.75 Pa/cm3/s以上の群にて有意に入浴後低下した(吸気 P=0.0117、呼気 P=0.0277;Wilcoxon T-test)。入浴前鼻腔抵抗値が 0.75 未満の群では有意な変化は認められなかった。 入浴後両側鼻腔抵抗値は、入浴前鼻腔抵抗値が 0.5Pa/cm3/s以上の群で有意に低下を認めた(P=0.0115;Wilcoxon T-test)。結果:鼻閉は温泉入浴後改善することが示された。温泉入浴により鼻閉症状は改善すると考えられる。