著者
竹内 万彦 鈴村 恵理
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Supplement3, pp.s181-s184, 2013-08-15 (Released:2014-08-15)
参考文献数
11

【目的】 相対湿度の低下が粘液線毛輸送機能の低下をきたすことが報告されている。そこで生理食塩水の鼻への噴霧が鼻粘膜の粘液線毛輸送機能に影響を及ぼすか否かを明らかにするために本研究を行った。 【方法】 対象は特に鼻疾患のない健康成人13名 (男性4名, 女性9名, 平均年齢29.3歳) である。3日にわたってサッカリンテストを施行した。1日目は特に何も処置をせずに行い, 2日目には生理食塩水の鼻噴霧5分後に, 3日目には鼻噴霧15分後に施行した。 【成績】 鼻噴霧5分後のサッカリン時間は前処置なしのそれと比べて有意に短縮していた。鼻噴霧15分後のサッカリン時間は前処置なしのそれと有意差を認めなかった。鼻噴霧5分後のサッカリン時間と鼻噴霧15分後のそれとの間にも有意差を認めなかった。室温は22.8±1.1℃, 湿度は28.8±5.1%であった。 【結論】 生理食塩水の鼻噴霧は短時間鼻粘膜の粘液線毛輸送機能を亢進させるものと考えられる。
著者
島崎 博也 水野 圭祐 水谷 真康 中村 毅 前田 一範 出口 晃 川村 直人 鈴村 恵理 美和 千尋 森 康則
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
pp.2310, (Released:2018-06-18)
参考文献数
15

【背景と目的】温泉の効果の一つに温熱作用がある.この効果は体温を上昇させ,体温調節機能が作動し,血流量の増大を引き起こす.今回,これらの変化が,浴槽の大きさ,温泉の泉質によるものかを検討した.  【方法】成人健常男性10名(平均年齢25.2歳)を対象として10分間42°Cの入浴を実施した.実施は,大浴槽(約1700L:アルカリ性単純温泉)と家庭浴槽(約300L:温水,0.1%人工塩化物泉)を用いた.測定項目は,深部体温「深部温モニターコアテンプ CM-210」と最高動脈血流速度「超音波血流計スマートドップ45」とし,それぞれの値を入浴中10分目,後安静10分目,20分目,30分目で比較し,さらに各条件で前安静値からの変化を求めた.  【結果】入浴10分目で深部体温と最高動脈血流速度の上昇値は,大浴槽の温泉が家庭浴槽での値に比べ,有意な高値を示した.また,大浴槽の温泉の深部体温は入浴3分目から有意に上昇した.後安静での深部体温は,大浴槽の温泉は15分間,家庭浴槽の人工塩化物泉は16分間,温水は13分間有意な上昇が維持された.  【考察】温泉大浴槽の方が家庭浴槽に比べて,深部体温上昇,最高動脈血流速度が大きかったのは,大浴槽では豊富な湯量により湯温の下降を妨げ,家庭用浴槽での深部体温上昇が継続されたのは,人工塩化物泉が体温上昇を維持させたと考える.
著者
美和 千尋 横山 登 河原 ゆう子 出口 晃 田中 紀行 島崎 博也 鈴村 恵理 川村 陽一
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.178-185, 2011 (Released:2012-12-07)
参考文献数
10

この研究はうたせ湯が筋収縮後のヒトの肩の筋血流量、筋硬度および体温に及ぼす影響を明らかにすることを目的に行なった。若年男性8人(平均20.4歳)を対象とし、レーザー組織血液酸素モニターにより僧帽筋の中部繊維の血流量を、筋硬度計により筋硬度を測定した。他に、レーザードップラーにより皮膚血流量を、サーミスターにより鼓膜温も測定した。測定は安静10分間と筋負荷後の40℃うたせ湯、肩たたき器によるマッサージ、40℃ホットパックと何もしない自然回復を5分間、その後30分間安静を行なった。安静時の室内は室温27℃、湿度42%RHを維持した。その結果、うたせ湯は有意な筋硬度の減少および皮膚血流量の増加、筋血流量の増加傾向を示した。マッサージでは有意な筋硬度の減少、皮膚血流量の増加が認められた。ホットパックでは有意な筋硬度の減少がみられた。鼓膜温は安静時を除いて有意な変化は認められなかった。これらの結果により、うたせ湯は筋と皮膚の血流量増加を伴って、筋硬度を減少させるものであり、肩こりの緩和に効果のある方法の一つであるといえる。
著者
島崎 博也 水野 圭祐 水谷 真康 中村 毅 前田 一範 出口 晃 川村 直人 鈴村 恵理 美和 千尋 森 康則
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.63-69, 2018-08-31 (Released:2018-09-26)
参考文献数
15

【背景と目的】温泉の効果の一つに温熱作用がある.この効果は体温を上昇させ,体温調節機能が作動し,血流量の増大を引き起こす.今回,これらの変化が,浴槽の大きさ,温泉の泉質によるものかを検討した.  【方法】成人健常男性10名(平均年齢25.2歳)を対象として10分間42℃の入浴を実施した.実施は,大浴槽(約1700L:アルカリ性単純温泉)と家庭浴槽(約300L:温水,0.1%人工塩化物泉)を用いた.測定項目は,深部体温「深部温モニターコアテンプ CM-210」と最高動脈血流速度「超音波血流計スマートドップ45」とし,それぞれの値を入浴中10分目,後安静10分目,20分目,30分目で比較し,さらに各条件で前安静値からの変化を求めた.  【結果】入浴10分目で深部体温と最高動脈血流速度の上昇値は,大浴槽の温泉が家庭浴槽での値に比べ,有意な高値を示した.また,大浴槽の温泉の深部体温は入浴3分目から有意に上昇した.後安静での深部体温は,大浴槽の温泉は15分間,家庭浴槽の人工塩化物泉は16分間,温水は13分間有意な上昇が維持された.  【考察】温泉大浴槽の方が家庭浴槽に比べて,深部体温上昇,最高動脈血流速度が大きかったのは,大浴槽では豊富な湯量により湯温の下降を妨げ,家庭用浴槽での深部体温上昇が継続されたのは,人工塩化物泉が体温上昇を維持させたと考える.
著者
鈴村 恵理 出口 晃 島崎 博也 前田 一範 浜口 均 川村 直人 川村 憲市 川村 陽一
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.87-94, 2012-02-29 (Released:2013-10-18)
参考文献数
7

背景:鼻閉はわずらわしい症状である。今回、鼻腔通気度計を利用して温泉入浴(41°Cから42°C)の鼻閉に対する効果を調べた。方法:10人の健常成人ボランティア(男性 10名、平均年齢 27.8±4.4才)に 10分間の温泉入浴をさせた。鼻腔通気度計(HI-801)を利用し、入浴前と後に鼻腔抵抗値を測定した。鼻腔通気度検査方法はアクティブ・アンテリオール法で行った。両側鼻腔抵抗は、左右片側抵抗値よりオームの法則の計算式(1/T=1/R+1/L、T:両側抵抗、R:右側抵抗、L;左側抵抗)に従って算出する。評価には ΔP100Pa 点の抵抗値を適用した。結果:左右別に測定した鼻腔抵抗値は、入浴前鼻腔抵抗値が0.75 Pa/cm3/s以上の群にて有意に入浴後低下した(吸気 P=0.0117、呼気 P=0.0277;Wilcoxon T-test)。入浴前鼻腔抵抗値が 0.75 未満の群では有意な変化は認められなかった。 入浴後両側鼻腔抵抗値は、入浴前鼻腔抵抗値が 0.5Pa/cm3/s以上の群で有意に低下を認めた(P=0.0115;Wilcoxon T-test)。結果:鼻閉は温泉入浴後改善することが示された。温泉入浴により鼻閉症状は改善すると考えられる。