- 著者
-
島崎 博也
水野 圭祐
水谷 真康
中村 毅
前田 一範
出口 晃
川村 直人
鈴村 恵理
美和 千尋
森 康則
- 出版者
- 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
- 雑誌
- 日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
- 巻号頁・発行日
- vol.81, no.2, pp.63-69, 2018-08-31 (Released:2018-09-26)
- 参考文献数
- 15
【背景と目的】温泉の効果の一つに温熱作用がある.この効果は体温を上昇させ,体温調節機能が作動し,血流量の増大を引き起こす.今回,これらの変化が,浴槽の大きさ,温泉の泉質によるものかを検討した. 【方法】成人健常男性10名(平均年齢25.2歳)を対象として10分間42℃の入浴を実施した.実施は,大浴槽(約1700L:アルカリ性単純温泉)と家庭浴槽(約300L:温水,0.1%人工塩化物泉)を用いた.測定項目は,深部体温「深部温モニターコアテンプ CM-210」と最高動脈血流速度「超音波血流計スマートドップ45」とし,それぞれの値を入浴中10分目,後安静10分目,20分目,30分目で比較し,さらに各条件で前安静値からの変化を求めた. 【結果】入浴10分目で深部体温と最高動脈血流速度の上昇値は,大浴槽の温泉が家庭浴槽での値に比べ,有意な高値を示した.また,大浴槽の温泉の深部体温は入浴3分目から有意に上昇した.後安静での深部体温は,大浴槽の温泉は15分間,家庭浴槽の人工塩化物泉は16分間,温水は13分間有意な上昇が維持された. 【考察】温泉大浴槽の方が家庭浴槽に比べて,深部体温上昇,最高動脈血流速度が大きかったのは,大浴槽では豊富な湯量により湯温の下降を妨げ,家庭用浴槽での深部体温上昇が継続されたのは,人工塩化物泉が体温上昇を維持させたと考える.