著者
浜田 忠久 小川 千代子 小野田 美都江
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.3-23, 2016 (Released:2017-01-30)

我が国では2001年に情報公開法が、2011年に公文書管理法が施行され、「知る権利」を保証するために必要な法体系の整備が徐々に進みつつあった。しかし2014年に特定秘密保護法が施行され、「知る権利」の確保は大きく後退する状況となった。 本研究では、その歴史的、文化的な背景を探るために記録と公開、秘密保護の歴史を江戸時代から振り返り、諸外国、主にアジア諸国と社会的状況を比較することによって日本の現状を浮き彫りにすることを試みた。国際組織による民主化度、表現の自由に関する国際比較では、日本は2011年以降、報道の自由、中でも法的環境が悪化しており、またアジア諸国の市民意識の比較調査では、日本人は同調圧力が著しく強いことが示され、人権を制約する法改正が進んでもそれに対して強い抵抗を示さない可能性が示唆された。
著者
浜田 忠久
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.92-123, 2003

水利組織の原型は、江戸時代に形成された井組、水組などと呼ばれた村々連合だといわれるている。こうした旧慣に基づく組織を、法律で定めた新しい組織制度の枠組みに組み入れていこうとすれば、当然そこには摩擦や混乱が生じることになる。そうした事例は全国各地にみることができる。ここでは、制度と実態の不一致により生じた対立・紛糾事例として、待矢場両堰地区における堰総代人問題を取り上げ、新しく導入された法律制度に対する県の考え方や地元における期待、その間に挟まれた郡の対応などを追いながら、その混乱が何故生じ、それがどようなかたちで収束していったかについてみていくこととしたい。