著者
海老名 敏明 金上 晴夫 桂 敏樹 青沼 賢治 白石 晃一郎
出版者
医学書院
雑誌
呼吸と循環 (ISSN:04523458)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.401-409, 1959-04-15

I.まえがき 機能的残気量(Functional Residual Capa—city,以下F.R.C.と略す)の測定は,慢性肺気腫の診断並びにその程度の判定上大切であるばかりでなく,慢性肺疾患に於ける代償性肺気腫の有無,肺葉切除術後の残存肺膨脹の状態を知る上にも重要である。 F.R.C.の測定はかなり前から行われ,1932年のChristie1)の論文では当時まで発表されたF.R.C.の測定に関する約47篇の論文の詳細な考察を行いVan Slyke and Binger2)の方法が最も信頼性の高い方法であると述べている。この方法は水素をIndicator Gasとして用いているがChristieは之を改良し,爆発の危険性を除くために窒素をIndicator Gasとして用いる閉鎖回路法を発表した。この方法はその後かなり長く用いられ,閉鎖回路法としてはわが国では現在も尚行われている。1939年J.McMichaelはChristieの方法を追試しKatharometerを用い水素をIndicator Gasとして用いるConstant Volume Modificationを初めて発表した。1940年Darli—ng4)は酸素による開放回路法を発表し,その正確さ,再現性の高い点から米国その他に於て現在も尚広く用いられている。
著者
海老名 敏明 鹿内 健吉 伊藤 隆 梅田 義彦
出版者
低温生物工学会
雑誌
凍結及び乾燥研究会記録 (ISSN:02888289)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.16-24, 1960-07-17

現在我々の行つている乾燥BCGワクチン(以下乾ワクと略す)の製造では,箱型乾燥機内でアンプル中の液体ワクチンが一且凍結真空乾燥された後,空気を入れて真空を破つて取り出され再び多岐管式乾燥に取りつけて真空に熔封される。此の際真空下にあつた乾ワクは一時空気にふれ再び真空下に戻される事になる。この乾ワクにふれる空気の湿度や,空気と接触している時間の長さが乾ワクの生菌数及び保存性に如何に影響を及ぼすか検討した。1)箱型乾燥機内で乾燥が終つた時,真空下でアンプルにゴム栓を施し,一時的に封じ,之を箱外に取り出し最終的に熔封を行つた乾ワクと,従来の方法で短時間(10分以内)空気にふれさせた後,真空熔封されたものの生菌保性を氷室保存12ケ月比較観察したが,両者間に著差を認め得なかつた。2)箱型乾燥機からとり出されたアンプルを一部は直ちに真空熔封し,他は相対湿度約25.5%の容器中に貯え,2時間後に真空熔封した。この両者の製造直後の生菌数は,後者では明らかに滅少して居た。又15時間上記容器中に放置した群を加えこれら3種の乾ワクの生菌保存性を比較したが,氷室保存では製造直后の生菌をよく保持したが,37℃保存で空気とふれた時間に比例して生菌揖失の度が増した。3)硫酸処置により5.2%, 56.8%, 88.5%の含湿空気を作り,之らに乾ワクを2時間ふれさせた後,真空熔封し,各乾ワクの生薗保存性を比較したが,氷室保存で製造直後の生菌数をよく保持し得たが,37℃保存で高湿度の空気にふれたもの程生菌損失の度合は大きかつた。尚各乾ワクの含水度はふれた空気の湿度に比例して多くなつて居た。4)アンプル熔封時,空気,酸素,窒素等のガスをアンプル中に送入し,再び真空状態に戻した後アンプルを真空熔封した場合,その乾ワクの生菌保存性は窒素群が他群より多少優れて居た。