著者
涌井 智寛 沼崎 隼一 三塚 恵嗣 畠山 正行
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.134-134, 2011-03-25

最近いわゆるインターネット技術の発達と成熟にともなって,Web アプリケーションの開発と利用の機会は増し,社会的需要も増大しつつある.しかし,それらを支えるアプリケーションの開発をより簡単にする技術や,ユーザの利用をより快適にする技術はまだまだ発展途上にあると考えられる.開発を簡単にするという点では,jQuery,Ruby on Rails 等の多くの技術が存在するが,我々は利用の応答性を高めるという点に着目し,Web アプリケーションを提供するサーバのスループットや,クライアントのインタラクティブな応答性の問題における 1 つの解決を目指す.Web アプリケーションで扱うデータ量が増加すると,その応答はユーザの利用応答性を現実に損なう.そこで我々は,(i) ブラウザで多数の要素を生成,表示する場面では,(i-1) 軽量な要素と単一の textarea を使用する,(i-2) display プロパティによる選択的表示を行う,(i-3) class 属性値によってデータを保持する工夫をし,(ii) 多数の要素の中からいくつかの所定の要素へアクセスする場面では (ii-4) 特別な ID 名をセレクタとする,など合わせて 4 つの工夫により,応答性の問題に対する 1 つの解決案を見いだした.これらの工夫を実装することで数万要素程度を扱う Web アプリケーションでは,多くの状況で応答時間を 0.1 秒に抑えられ,ユーザが瞬時の応答を得られるという点で良好な結果を得た.また,これらの工夫は Web アプリケーションの開発者にとっては基本技術と見なしうる技術範囲で実装可能となるように考案した.このような基本技術に限定したことで,数個の工夫を付加的に実装する形で応答性改善が期待できる.本論文では上記の基礎的な技術のみに基づき,Web アプリケーションの応答性を高める実装方法について報告する.The importance and the use of the Web applications will increase due to the development of the Internet technique. In the present paper, we have focused our attentions to the response time of the user operation of the Web applications on the browser. As are well known, the response time increases along with the increase of the data amount using in the Web applications. To improve the response time of the Web application, we have thought out the following four technique as follows; (i) In the scene of generating and rendering a lot of elements on the browser; (i-1) use an element properly by the scene, (i-2) select the target to view or to edit by the display property, (i-3) store the data in the form of the class attribute value instead of the element's content, (ii) In the scene accessing to some elements among a lot of elements; (ii-4) use ID as the selector as if it was a class attribute value. As the results, we have got the rather good solutions for the user's response time less than 0.1 seconds. We have also developed a simple technical skill set to realize the solutions the above described simple technique.
著者
下田 明宏 涌井 智寛 星野 哲男 畠山 正行 荒木 俊郎
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.37(2005-MPS-054), pp.17-22, 2005-05-10

DNA計算の分野において計算アルゴリズムが幾つか提案されている.提案されたDNA計算アルゴリズムは分子生物学的なDNA計算は実験によって実現されるものであり,実験を行って検証しなければならない.しかし実験にはいくつかの困難があり容易ではない.そこでDNA計算シミュレータがこれらの実験の前段階として有効である.しかし現存するシミュレータは種類も少なく,また,時間的に連なる複数の操作手続きを連続して実行できるようには作られていない.そこで我々は連なった操作が行える様な仕組みを実現したDNA計算シミュレータを開発した.開発したシミュレータを既存のVNAシミュレータと比較した.その結果,計算精度は共通機能についてはほぼ同じ精度であることが分かった.それに加えて,開発したシミュレータは,連続した操作を実現した以外にも幾つかの新しい特徴を持っている.それは入出力のDNA分子の種類数を大幅に増やしたために,DNA分子のうち従来のシミュレータでは無視されていたごく少数のDNA分子も保持でき,シミュレーションに組み入れられたことである.今後の課題は本シミュレータの妥当性と実現性を分子生物学的な実験と比較して検証すること,及び,他の複雑な計算シミュレーションに応用できるように機能を拡張することである.
著者
大木 幹生 片野 克紀 三塚 恵嗣 沼崎 隼一 涌井 智寛 加藤木 和夫 池田 陽祐 畠山 正行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.31, pp.49-56, 2009-03-11
被引用文献数
7

われわれの研究グループでは,以前よりプログラムの生成・取得を容易にするための一貫した記述言語とその環境である OOJ の研究を行ってきた.しかし,研究開始当初はいくつかの問題の障害から OOJ 構築の第一段階として,分析,設計,実装の三段階に分けて開発 (三言語独立方式) を進めてきた.その結果,分析段階からプログラムの生成までの一貫した記述例を得る事が出来たため,三言語独立した方式において OOJ のある程度の成果を得たと言える.しかしながら,それと同時に記述内容の一貫相似性に関して問題が浮上してきたため,この問題に対処するべく研究の段階を進め,一貫相似性問題に対処した三言語独立方式の OOJ の提案を行うと共にその開発を行った.その結果,三言語独立の方式に依っても一貫相似性のある記述やプログラムを得る事を立証した.We have been developing the Ob ject-oriented (OO) description language OOJ. The OOJ is a language to realize the Ob ject-oriented, Integrally Consistent Similarity in the various simulations with high similarity. The OOJ is, however, difficult to be developed in the sin- gleton language formalism. Then, we have developed the series of three kinds description languages, say the OONJ, ODDJ, OPDJ in stead of the OOJ. In the present paper, then, we have implemented these three languages, and validated the similarity among these descrip- tion languages by making use of the same description examples throughout the OONJ, the ODDJ, the OPDJ, and finally the Java program. Throughout the results, we have confirmed the integrally consistent similarity. In the future work, we will try to develop the singleton description language OOJ to verify the above described similarity.